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品質不適切行為が発生する土壌に、品質保証の脆弱さがある

 近年の品質不正による社会的問題化によって、「品質不正の発生を予防する取り組みを行いたい」という組織が増えている。意図的とは見えない品質不正については、緻密な品質保証の取り組みをしているが発生防止ができなかった事案と認識されるため、経営インパクトが大きいケースはあるものの、社会的な問題にはなりにくい。

 一方で意図的に見えるまたは緻密ではないと見えるような品質不正については社会問題化している。特に意図的に見える品質不正については、品質不適切行為というような表現が使われることがある。近年はこの品質不適切行為の事案が次々と報道されており、組織の信頼を揺るがすものであることから、その発生を予防したいという関心がますます高まってきている。

 筆者のコンサルティング経験および見聞から、品質不適切行為が明らかになった組織においては、品質不適切行為を検出できなかった要因として、<品質保証活動の脆弱さがあり、その品質不適切行為以外においても、正しい品質保証活動が確実にできていたとは言いきれないグレーゾーン>があったのではないかと推察している。このような認識から、品質不適切行為を予防するという取り組みをする際は、意図的な違反の防止策と共に、自社の品質保証活動の弱い所を直視して、品質保証活動の見直しを行うことが有効な取り組みになると考えている。

 まずは自社の品質保証活動で脆弱なところがないかを確認することが必要である。