世界遺産地域のみどころ

「カイロ歴史地区」のいちばんの見所は、イスラーム地区である旧市街と、カイロ発祥の地であるオールド・カイロでしょう。

 ぜひ訪れていただきたいのがモカッタムの丘にある城塞シタデルです。1176年、アイユーブ朝創始者のサラーフ・アッディーンによって建てられ、ムハンマド・アリー・モスク、スレイマン・パシャ・モスク、軍事博物館などがあります。さらにここはカイロ市内を見渡せる絶景ポイントになっています。先に紹介したアズハル・モスクも旧市街にあります。

モカッタムの丘にある城塞シタデル

 ここでの買い物はぜひ、「ハン・ハリーリ・バザール」へ。12世紀、ファーティマ朝に創建された由緒ある「アル・フセイン・モスク」の西側一帯にあります。14世紀末のスルタン、バルクーク時代に開かれた大スーク(市)で、スーク内はまるで迷路。宝石類や金属細工、民族衣装、工芸品などのお店が道の両側に並んでいます。

観光客に大人気のハン・ハリーリ・バザール

 オールド・カイロは歴史好きにはたまらないエリアです。まず、642年から969年までエジプトの首都だったフスタートが、現在も廃墟のまま保存されています。このフスタート遺跡からは、発掘調査によって東方の陶磁器などが出土、シルクロードに繋がっていたことがわかりました。

フスタート遺跡

 この地域にはギリシア正教の修道院や、ユダヤ教のシナゴーグ(集会所)が残っています。「ベン・エズラ・シナゴーグ」は、紀元前605年から前560年頃、エジプトに連行されたユダヤ人が建てたもの。1894年改修工事を行った際、地下から「ゲニザ(ヘブライ文字アラビア語)」と呼ばれる文書コレクションが発見されました。中世のユダヤ人だけが使用した文字で書かれた、貴重なものです。

 また、ローマ時代の建造物であるバビロン城の遺跡もあり、多くの宗教文化とじかに触れることができます。

バビロン城