國學院大・平林は8人抜きの快走

 順位変動の激しいエース区間で、下位から大胆なゴボウ抜きを演じたのが國學院大・平林清澄(3年)だ。17位スタートも、「エースとしての走りが求められていた部分があったので、ガツンと行きました」と次々と前方のランナーをとらえていく。

 1時間06分26秒(区間3位)で激走して、8人を抜き去った。

「追い風のコンディションでしたが、去年の自分の記録より1分くらい速いんですかね。目標(1時間6分台)以上のタイムを出せて良かったと思います。でも、区間賞を獲りたかったですね」

 前日に能登半島地震が起こり、福井出身の平林の心は揺れていた。

「実家は無事でした。同じ北陸地方として、自分の走りで区間賞を獲得して、エールを送りたい気持ちがありました。負けちゃったんですけど、自分の走りがテレビに映って、北陸の方たちに少しは元気を届けられたかなと思います」

 

中大・吉居はレース直後うずくまった

 前回2区で1時間06分22秒の区間賞を獲得した中大・吉居大和(4年)。最後の箱根駅伝は想定外ともいえる厳しい戦いになった。19位からの出発になったとはいえ、吉居らしい爆発力が見られない。後半はさらにペースが上がらず、1時間08分04秒の区間15位に終わった。

 レース後は耳と頭を抑えてうずくまった。その後の取材では、「先頭に近い位置で来ると思っていたので、競り合いながらラスト勝負で一番にゴールしたいと思っていました。今回は23㎞で自分の持っているすべての力を出し切ることができませんでした……」と話していた。

 吉居は語らなかったが、年末にチームは体調不良者が続出。絶対エースも万全な状態ではなかった。そのなかでの苦しいレースだった。

 エースたちが本気でぶつかった花の2区。それぞれにドラマがあった。