名品は時間を掛け積み重ねられた伝統の力が生み出すもの。そして物作りの情熱は、やがて過去の名品さえも進化させていく。ロングセラーとヘリテージをつむぎながら誕生したニューデザイン。その二つを知ることで、ブランドの持つ本質と革新性が見えてくる。

写真/青木和也 スタイリング/荒木義樹(The VOICE) 文/長谷川 剛(TRS) 編集/名知正登

英国的なブライドルレザーグッズを多彩に展開

 ブランドの拠点は、英国・スコットランドの中西部であるエア・シャー。1979年の創業当時から、グレンロイヤルは英国らしいブライドルレザーを用いたバッグや財布などの革小物を多数展開し続けている。

 ブライドルレザーとは牛脂や蜜蝋をしみ込ませ、防水性や耐久性を高めたレザーであり、使い込むことで深い艶を放つところが魅力。同ブランドではベース素材として、これまたブリティッシュなベジタブルタンニンなめしの革材を用いており、それゆえに長年堅牢で型崩れしにくい優れた製品作りを完成させている。

 昨今は合理化のため、分業による製品作りが主流となるなか、グレンロイヤルではひとつのファクトリーでの一貫生産を続けている。トータルな品質管理は当然のこと、プロダクトとして完成度の高いアイテム作りは大きなポイントと言えるのだ。

 また、英国的な質実剛健スピリットを貫きつつ、デザインや使い勝手に関してはモダンな美観、利便性を追求しているところも見逃せない。オン・オフ兼用に適したコンテンポラリーコレクションを筆頭に、セレクトショップ等との別注アイテム作りにおいても実に柔軟。英国的なトラッドと実用性、そして時代に即した物作りを続けるからこそ、常に安定した支持を獲得しているのである。