名品は時間を掛け積み重ねられた伝統の力が生み出すもの。そして物作りの情熱は、やがて過去の名品さえも進化させていく。ロングセラーとヘリテージをつむぎながら誕生したニューデザイン。その二つを知ることで、ブランドの持つ本質と革新性が見えてくる。

写真/青木和也 スタイリング/荒木義樹(The VOICE) 文/長谷川 剛(TRS) 編集/名知正登

元祖にして次世代をリードするアメトラの象徴

 アメリカントラッドスタイルの祖と言われるブルックス ブラザーズ。1881年に創業したヘンリー・サンズ・ブルックスは、その黎明期から「製造と販売を兼業」する業態を築いており、すべてをコントロールしつつ最高品質のみを取り扱うことをモットーとしていた。19世紀の当時は、まだまだスーツもオーダーメイドが主流の時代。しかし同社は早くから既成スーツを打ち出し業界をリードしていた。

 代表的なモデルが「ナンバーワン サックスーツ」であり、自然な肩回りかつ絞り込まないフロント、段返りの3つボタンなど、それらアメトラスーツの基本を完成させたのは、まさにブルックス ブラザーズなのである。その他にもポロカラーシャツ(B.D.シャツ)やマドラスチェックのシャツ、レップ(レジメンタル)タイ等が、米国から世界に広まったのも同社があればこそ。

 そんなアメトラスタイルの殿堂は、昨今「アーカイブコレクション」を打ち出し注目されている。なかでも1970~90年代に人気を博したアメトラアイテムを、当時のニュアンスやディテールを取り入れ巧みに再現したシリーズは、広い年齢層のアメトラ愛好家から支持を得ているという。

 ブルックス ブラザーズは元祖でありながら、現代に生きるトラッド(伝統的スタイル)の担い手と言える希有なブランドだ。