ヘミングウェイが常宿としたホテル

 アメリカの文豪アーネスト・ヘミングウェイは、キューバを第二の故郷として愛しました。1939年から61年までの22年間、島に居住し、キューバの貧しい老漁師を主人公にした『老人と海』(1952年)などの傑作を執筆しました。

 また、ヘミングウェイはアメリカ人にもかかわらず、同志チェ・ゲバラたちと一緒にゲリラ活動をしたキューバ革命の英雄フィデル・カストロを援助しました。ハバナ郊外にはキューバをこよなく愛したヘミングウェイの旧宅「フィンカ・ビヒア」が博物館として当時のまま保存されています。『老人と海』を書きあげた部屋や、愛用したタイプライターや、蔵書、衣類などを展示しています。

 旧市街にはヘミングウェイが移住する前の1931年から39年まで、常宿としていた「ホテル・アンボス・ムンドス」があります。メイン・ロードのオビスポ通り沿いにある、サーモン・ピンク色に塗られた5階建てのネオ・クラシカルな建築のホテルです。

ホテル・アンボス・ムンドス外観

 ヘミングウェイが使用していた511号室は今も当時のままの調度品が置かれ、私物も残されています。宿泊客は無料で、ビジターは有料で中に入ることができます。

タイプライターなどが展示されているヘミングウェイが泊まった部屋

 ホテルは1925年に完成し、ベルボーイが操作する手動のエレベータや旧市街が見渡せる屋上のルーフガーデンなど、いまも古き良き時代の面影を色濃く残す4つ星ホテルです。

 客室は52部屋あります。1930年代のアール・デコの家具が置かれ、贅沢な空間になっています。

 日本からの直行便はありませんが、カナダやメキシコを経由してハバナのホセ・マルティ国際空港へ。空港から市内へは約18km。旅行会社に送迎を依頼するのがいいでしょう。

 多くの小説や映画の舞台にもなっているオールド・ハバナ。ベストシーズンは11月から4月です。まるで1950~60年頃へ戻ったかのようにクラシックカーに溢れるキューバ、ハバナの町。

 日本とは良好な関係のキューバですが、1961年のキューバ危機以降、アメリカとの国交が途絶え、車の部品など工業製品を輸入できなくなったため、古い車を修理して使い続けています。このオールド・カーは名物となり、観光用に乗ることもできます。

 石畳と美しい建造物の街並みを散策したり、ヘミングウェイとチェ・ゲバラのゆかりの地を巡ったり、名産のラム酒を使ったモヒートやダイキリをバーで堪能したりと、楽しいプランを立ててみてはいかがでしょう。

 

※旅行に行かれる際は外務省海外安全ホームページなどで現地の安全情報を確認してからお出かけください。

https://www.anzen.mofa.go.jp/