4つの要塞

 旧市街と合わせて文化遺産に登録されたのが4つの要塞群(フエルサ要塞・モロ要塞・プンタ要塞・カバーニャ要塞)です。1492年、コロンブスによって発見されたキューバは、1519年から本格的に街並みがつくられ、砂糖やタバコなど、スペインの植民地貿易の中心として港は賑わいます。貿易によって大きな富を得て、ハバナは繁栄していきました。

 しかし、フランスの海賊ジャック・ド・ソーレスの焼き討ちにあったことがきっかけとなって、外敵からの侵略から街を守るため、スペインは次々と要塞を建設しました。

 世界遺産に登録されている要塞軍は、フエルサ要塞、モロ要塞、プンタ要塞、バーニャ要塞の4つです。フエルサ要塞はハバナ最古の要塞で、1555年に着工し、1558年に完成。創建当初は木造でしたが、フランスの海賊に襲撃された際に焼失したため、サンゴ石を使用した強固な石造りの要塞へと再建され、周囲を堀で囲んだ珍しい造りとなりました。現在はキューバの歴史や海に関する博物館になっています。

 カリブ海最強の砦といわれた城壁の高さが20mのモロ要塞は、対岸にあるプンタ要塞との間に太い鉄の鎖が張ることにより、敵国船や海賊船からハバナの街を守ってきました。現在、プンタ要塞の内部の一部は博物館になっており、大砲や船の模型などが展示されています。

 バーニャ要塞の内部には革命の英雄チェ・ゲバラの写真や所持品が展示されているゲバラ博物館があります。

 高さ20mの城壁を有するモロ要塞は、大船団を率いるイギリス人の海賊ヘンリー・モーガンの襲撃も退け、17世紀前半には3度にわたるモロ要塞は、カリブ海最強の砦といわれ、その名に相応しい活躍を見せます。

フエルサ要塞 写真=フォトライブラリー

 現在、要塞内部は、コロンブスの旅の軌跡や歴史などを展示する博物館となっており、レストランも併設されています。また、要塞からハバナ湾や旧市街を見渡すことができ、ハバナ随一の絶景ポイントとして多くの観光客が訪れています。

プンタ要塞 写真=フォトライブラリー