名品は時間を掛け積み重ねられた伝統の力が生み出すもの。そして物作りの情熱は、やがて過去の名品さえも進化させていく。ロングセラーとヘリテージをつむぎながら誕生したニューデザイン。その二つを知ることで、ブランドの持つ本質と革新性が見えてくる。

写真/青木和也 スタイリング/荒木義樹(The VOICE) 文/長谷川 剛(TRS) 編集/名知正登

削ぎ落とされた合理性とラグジュアリーの融合

 1968年ドイツのハンブルクにて、ジル・サンダーが自身の名を冠したブランドを設立。“装飾なきデザイン”をコンセプトに、1973年にウィメンズコレクションを発表し注目を集める。

 1995年にはミラノに拠点を移し、そこでの成功を受けて世界的なブランドへと発展。ブランド初のメンズラインをスタートさせたことも相まって、’90年代後半からは本邦でも広く注目される存在に。

 1990年代にはミラノに拠点を移し、そこでの成功を受けて世界的なブランドへと発展。また、著名スポーツアイテムメーカーであるプーマとのコラボレーションや、ブランド初のメンズラインをスタートさせたことも相まって、’90年代後半からは本邦でも広く注目される存在に。

 当初から服作りにおいては厳格であったジル・サンダー。妥協を許さずモットーを貫く姿勢、特に素材選定に関しては吟味を尽くすスタイルがつとに有名。

 2017年からクリエイティブ・ディレクターに就任したルーシー&ルーク・メイヤーも、ブランドの根幹である“合理化された純粋性”というモットーを引き継ぎ、ブランドを安定的に牽引。ルーシー・メイヤーは、マーク・ジェイコブスの下で5年間ルイ・ヴィトンのデザインチームに所属。ニコラ・ゲスキエール率いるバレンシアガに在籍後、ラフ・シモンズの目に留まり、ヘッドデザイナーとしてディオールのデザインチームに加わる。ラフ・シモンズ退任後、ディオールの共同クリエイティブ・ディレクターとして従事。

 ルーク・メイヤーは、ジョージタウン大学でファイナンスと国際ビジネスを学んだ後、英国オックスフォード大学で経営学を専攻。その後、新たにメンズブランドOAMCを共同設立者として立ち上げた。

 磨き抜かれたクラフツマンシップと質の高いデザインを軸に、世界の服好きから強く支持されるモードメゾンとして成長を続けている。