軍事国家として君臨したアステカ

《鷲の戦士像》アステカ文明、1469〜86年 テンプロ・マヨール、鷲の家出土 テンプロ・マヨール博物館蔵

 そしてもうひとつ、14世紀から16世紀にかけてメキシコ中央部に築かれたアステカ文明。アステカは首都テノチティトランを築き、軍事力と貢納制を背景にメキシコを代表する強国となった。高さ170cmの《鷲の戦士像》は、アステカの強さを感じさせる展示品。今まさに飛び立たんとする凛々しい立ち姿から、勇ましさが伝わってくる。

 強国であったアステカだが、強国ゆえに敵も多かった。16世紀初頭にはアステカに征服された民族の不満が噴出し情勢不安に。そこにスペイン人が押し寄せ、アステカに不満をもった人々はスペイン側に加担した。1521年に首都テノチティトランが陥落。ほどなくアステカ王国は滅亡してしまった。

 古代メキシコが誇る3つの文明、マヤ、アステカ、テオティワカン。出土品を通して、いにしえの都市の風景が頭の中に浮かび上がってくる。空想好き、妄想好きにはたまらない展覧会だ。