独自の審美眼を貫く、世界のレジェンドたち。政治家から作家、思想家、建築家、ビジネスエリートまで、彼らが身に着ける品々から、その生き様も見えてくる。いかに洋服を楽しみ、相手への印象を考えて装っているのか、ドレスファッションに精通するスタイリスト四方章敬氏が解説。今回はフランスのエマニュエル・マクロン大統領。大統領は国を代表する人物として、国のイメージをも同時に背負う必要があるが、ファッション大国のプレジテントは公務や公式訪問、就任式などの場面にどのような服装で臨んでいるのか。

写真=アフロ 協力=四方章敬 編集・文=名知正登

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ジャストなネイビーの3ピーススーツに身を包み、凛々しさと清々しさと

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 2022年1月11日、フランス・パリのエリゼ宮にて。2022年上半期のEU理事会・議長国として、欧州の主権強化などの課題について話し合う昼食会に到着したシャルル・ミシェル欧州理事会議長を歓迎。

「ダークネイビーの3ピーススーツはクラシックですが、ナローラペル、ジャケットがやや短丈でモード的な要素が入っているのがファッションの本場フランスの大統領らしい。Vゾーンはナロータイではなく、ノーマル幅のタイ(よく見ると織り柄素材なのも◎)、シャツはダブルカフス仕様といった、これ見よがしでないディテールへの気配りも素晴らしい。コーディネートがシンプルなので腕時計、カフリンクスがアクセントになって良いですね。重箱の隅をつつくようですが、ネクタイのディンプルが綺麗に入っていれば完璧でしたね」。