文=甲斐みのり 撮影=平石順一
焼津産の鰹と、駿河湾の桜えびご飯を食卓で
ここ最近、暮らしの楽しみのひとつにあるのが、ほどよく手を抜きながらも、日々の食卓を充実させること。平日は特に、冷凍食品やインスタント食品を取り入れながら、しっかり体が喜ぶ食事を心がけています。心からおいしいと感じる冷凍食品が増えているおかげで、料理下手をカバーできるのがありがたいかぎり。「おいしい」という言葉が自然とこぼれる時間に救われています。
いつも元気に過ごしているか気にかけていただき、地元・静岡のさまざまなおいしいものを紹介してくださる同郷のKさん。“第二の母”と慕う優しく頼もしい存在に教えていただいたのが、今回紹介する「かつおめし」と「桜えびごはん」。
日本一深い駿河湾に面し、全国有数の水揚げを誇る漁港を有することから、水産のまちとして栄えてきた静岡県焼津市。そこで昭和30年から続く老舗の魚問屋〈村兼水産〉で、手間暇かけて手作りしている炊き込みご飯です。
主役の食材は地元自慢の、焼津産の鰹と、駿河湾の桜えび。脇役も一流揃いで、山形の銘柄米を炊き上げるのに使っているのは、駿河湾の海底約400メートルから取水したミネラルを豊富に含んだ深層水。焼津の鰹節と天然昆布で取った出汁のうまみをたっぷりと吸い込んだ風味豊かな米粒が、それぞれの食材の持ち味を際立たせています。
炊き上がったごはんは、トレーに盛って、急速冷凍。村兼水産は、主にはマグロ・カツオを保管するための超低温冷蔵庫を保有しているので、食材・食品のおいしさを守る冷凍技術も優れています。クール便で届いた冷凍炊き込みごはんを味わうときには、電子レンジで袋のまま温めてから蒸らすだけ。
「まるで料亭の味のよう」と感動した2種類のごはんが、どちらも500円以下というのも驚きです。老舗の魚問屋のオリジナルだからこそのお値打ち価格と言えるでしょう。
実は村兼水産は、Kさんのご実家。心を込めて、かつおめし・桜えびごはんを作っているのは、Kさんのお姉さま。Kさんをきっかけに知ることができたのですが、身内贔屓は一切抜きで、静岡自慢の味としておすすめします。
それから、かつおめし・桜えびごはんと合わせて、最高に贅沢な手抜きごはんのひとつとして、食卓に色を添えてくれるのが、同じく村兼水産の「自家製漬魚セット」。粕漬サーモン、粕漬金目鯛、西京風漬銀ダラ、西京風漬鯖、西京風漬メカジキが、2切ずつ入っています。こちらも冷凍で届いたものを冷蔵庫に移して解凍し、グリルやフライパンで焼くだけ。
静岡の中でも富士山の麓のまちで育った私は、この静岡の海の恵みを味わうとき、今度ゆっくり漁港を歩いてみたいと、焼津へ思いを馳せています。