文=甲斐みのり 撮影=平石順一
ホテルと同じく「最上質の日本」を体現
まだまだ自由な旅が叶わずに、心もとない暮らしの中で出来る限りの楽しみを探す日々が続いている。そんな中、せめてひとときでもバカンス気分をと、東京の中心「丸の内1-1-1」に所在する、1961年創業の由緒あるホテル〈パレスホテル東京〉で一泊過ごすことに。
早めに仕事を切り上げて夕方前にチェックインし、和田倉噴水公園や皇居外苑を見晴らす客室のテラスで、ホテル前のお濠を泳ぐ白鳥をかたどった「スワンシュークリーム」や、創業当時からの伝統的なケーキ「マロンシャンティイ」をおともにお茶の時間。夜にはこちらも伝統的に受け継がれる「ローストビーフ」や「舌平目のボンヌファム」に舌鼓を打ち、朝はお濠に面したオープンテラスで小鳥のさえずりを聞きながら、焼きたてのパンや新鮮なフルーツたっぷりの朝食を味わった。
東京の真ん中で、こんなにも穏やかな気持ちで深く呼吸ができるとは。ゆったりとデザインされた客室の居心地のよさはもちろんのこと、各所で接するスタッフの礼節に満ちた柔らかなもてなしにも心が和らいだ。
地下鉄の駅通路に直結するホテルの地下には、ペストリーショップ〈スイーツ&デリ〉があり、ホテルメイドのスイーツ、パン、デリ商品など購入できる。コロナ禍以降はオンライショップの需要が高まり、全国各地から注文があるという。家に帰ってからもホテルで過ごした時間の余韻に浸れるように、2020年に誕生したばかりだというクッキーの詰め合わせ「プティフールセック缶」を持ち帰った。