文=甲斐みのり 撮影=平石順一
見た目も贅沢なクッキー缶で気持ち豊かに
この一年、室内で過ごす時間がぐっと増え、暮らしのあり方や価値観に大きな変化がもたらされた。これまでのように自由に旅や外出ができない分、ささやかながらも自分なりの楽しみを見出すことに喜びを覚える。
もっとも大きな変化は日々の食事だ。仕事柄外食が多かったのが一切なくなり、全ての食事を自宅でとるようになった。食材やレシピで新たなチャレンジをしてみたり、料理と器の組み合わせを考えたり。もともと習慣化していた日々のおやつの時間も、お取り寄せを活用しながら、ちょっとした贅沢や旅気分を感じている。
今、豊かな気持ちを保つのに欠かせないのが、缶入りクッキー。きっちりみっちり缶に詰まった少し贅沢なクッキーが食卓の上にあることが、毎日の励みにつながる。朝の家事が片付いたらあの味をひとつつまもう、この仕事が終わったらお茶を淹れてクッキーを食べよう。こんなふうにクッキーを味わうひとときを目標に定めると、家事も仕事もすいすいはかどる。
店頭では入荷待ちのクッキー缶をお取り寄せ
また訪れたい土地の味を慈しむ。これもこの一年の個人的なお取り寄せの心得だ。少し贅沢に、また旅したい土地の味を。そんな気持ちにぴったり寄り添ってくれるのが、京都〈新門前 米村〉の「よねむらオリジナルクッキー」。2020年にオープンしたお持ち帰り専門店〈ヨネムラザストア祇園〉やでは入荷待ちの状態が続く人気の品だが、オンラインストアではあらかじめ入荷時期を確認して注文できる。
〈新門前 米村〉といえば、ミシュランガイドにも掲載され、25年に渡り京都・祇園や東京・銀座で愛されながらも2019年に閉店した〈レストランよねむら〉の新店舗。フランス料理や日本料理の垣根を超えて独創的な感性で芸術的な料理を生み出すシェフ・米村昌泰氏が、趣向を凝らして、料理の延長線上にあるような驚きと感動が詰まった手作りクッキーを誕生させた。
チーズ胡椒、マカダミアナッツ、ぶぶあられ、お抹茶、黒ごま、黒糖きなこ、柚子、ジンジャー、七味、ヘーゼルナッツチョコ、ココナッツ、メレンゲ。12種類のクッキーがきっちりと缶に詰められた姿にも惚れ惚れ。
京都らしさを持ち合わせた12種類のフレーバーの中には、「これがクッキーに!?」と意外なものもあって、それがまた新鮮だ。抹茶は〈丸久小山園〉、ぶぶあられは 〈鳴海屋〉、七味は〈七味家本舗〉と、京都の老舗の風味豊かな素材を贅沢に使用している。
ザクッザクッ。ホロリ。噛むほどに旨味が口に広がる食感のよさとともに特徴的なのが、香りと後味。一般的に、クッキー=甘いお菓子というイメージがあるけれど、甘味だけでなく、抹茶本来の苦味や、七味や胡椒の辛味、チーズの塩味などがしっかりと効いて、ひとつひとつが料理の一部のよう。冷蔵庫で冷やすとまた違った食感に変化するのでお試しを。
日本茶、コーヒー、紅茶はもちろんのこと、ビール、ワイン、日本酒、ウイスキーと、お酒との組み合わせも好相性。右党も左党も満たされる。
ひとつひとつ大切に味わう間、心は愛しの京都へ向かっている。