文=甲斐みのり 撮影=平石順一
“かため派”か“なめらか派”か
プリン好きが顔を合わせれば必ず話題にあがるのが、“かため派”か“なめらか派”か。かつての私はなんとなくその場の空気を読みながら、かため派が優勢ならばなめらか派に歩み寄り、なめらかプリンが流行すれば昔ながらの喫茶店や洋食店でかためプリンを味わう活動を強化。プリンに対してどっちつかずな態度を続けてきた。
それというのも実のところ、かたいのも、なめらかなのも、むっちりしたのも、つるんと喉越しがいいのも、老舗の味も、流行りの品も、スーパーやコンビニに並んでいるものも、全てのプリンを愛しているから。何か一つに偏って語ると、プリンに申し訳ないような気がしてしまい、曖昧さを貫いてきたのだった。
しかしながら近頃は、もっと純粋に正直に、プリン愛を伝えるように改めた。家で過ごす時間が増えた昨年から、取り寄せたり、近所で求めたり、手みやげにいただいたりと、折にふれプリンに救われてきたからだ。先々が見えず気持ちに霧がかかったとき、「冷蔵庫の中のプリン」を思うと機嫌よく過ごすことができる。おやつの時間や風呂上がりの楽しみに、ときには朝食の一品として、プリンが不安を和らげてくれた。
今回紹介するのは、自分のため、家族と一緒に、友人や近所への手みやげとして、嬉しくおいしく頼もしく寄り添ってくれる、取り寄せできるプリンたち。「ケ」の日のささやかな贅沢として、リピートしたくなる慕わしい味ばかり。
懐かしいレトロなパッケージが目印
昭和の時代は家族旅行や新婚旅行の定番だった日本屈指の温泉街・熱海。近年はレトロな雰囲気を新鮮に感じる若い世代にも人気なのだそう。「熱海プリン」は、今もそこかしこに昔ながらの風景が残るまちの中に誕生したプリン専門店。
作り方や素材をあれこれ試した結果、行き着いたのはシンプルであること。余分な材料を使用せず、熱海の吹きあがる源泉からヒント得て、
食べやすくて見た目も愛らしいプリンは、年齢問わず喜ばれるので、家族での団欒時や手みやげに選んでも。今回取り寄せしたのは、カラメルがカバの形の容器に入った一番人気の「熱海プリン カラメルシロップ付」、懐かしいいちごミルクを思いおこす「熱海プリン いちご ベリーソース付」、古くから熱海で親しまれる“だいだい”みかんを使った「熱海プリン だいだいソースと千年井田塩付」、静岡県産の上品な苦味とコクを感じる「静岡抹茶プリン」、スタンダードな4種類のセット。昔ながらの牛乳ポストをイメージした箱に入って、封を開いたときの喜びもひとしお。