文=甲斐みのり 撮影=平石順一

“かため派”か“なめらか派”か

 プリン好きが顔を合わせれば必ず話題にあがるのが、“かため派”か“なめらか派”か。かつての私はなんとなくその場の空気を読みながら、かため派が優勢ならばなめらか派に歩み寄り、なめらかプリンが流行すれば昔ながらの喫茶店や洋食店でかためプリンを味わう活動を強化。プリンに対してどっちつかずな態度を続けてきた。

 それというのも実のところ、かたいのも、なめらかなのも、むっちりしたのも、つるんと喉越しがいいのも、老舗の味も、流行りの品も、スーパーやコンビニに並んでいるものも、全てのプリンを愛しているから。何か一つに偏って語ると、プリンに申し訳ないような気がしてしまい、曖昧さを貫いてきたのだった。

 しかしながら近頃は、もっと純粋に正直に、プリン愛を伝えるように改めた。家で過ごす時間が増えた昨年から、取り寄せたり、近所で求めたり、手みやげにいただいたりと、折にふれプリンに救われてきたからだ。先々が見えず気持ちに霧がかかったとき、「冷蔵庫の中のプリン」を思うと機嫌よく過ごすことができる。おやつの時間や風呂上がりの楽しみに、ときには朝食の一品として、プリンが不安を和らげてくれた。

 今回紹介するのは、自分のため、家族と一緒に、友人や近所への手みやげとして、嬉しくおいしく頼もしく寄り添ってくれる、取り寄せできるプリンたち。「ケ」の日のささやかな贅沢として、リピートしたくなる慕わしい味ばかり。

 

懐かしいレトロなパッケージが目印

熱海プリン 定番4種セット 1760円(税込・送料別)発売元=熱海プリン

 昭和の時代は家族旅行や新婚旅行の定番だった日本屈指の温泉街・熱海。近年はレトロな雰囲気を新鮮に感じる若い世代にも人気なのだそう。「熱海プリン」は、今もそこかしこに昔ながらの風景が残るまちの中に誕生したプリン専門店。

 作り方や素材をあれこれ試した結果、行き着いたのはシンプルであること。余分な材料を使用せず、熱海の吹きあがる源泉からヒント得て、じっくりゆっくり丁寧に蒸しあげて手作りしている。そうして完成したのが、スプーンですくったときの心地よいかたさと、口に含んだときのなめらかさが、絶妙なバランスのプリン。昭和風情たっぷりの熱海のまちなみに溶け込むように、容器は牛乳瓶をイメージしたデザイン。熱海の温泉が塩分を含んでいることから、塩を好んで摂取するというカバを店のシンボルマークに選んだのだそう。

 食べやすくて見た目も愛らしいプリンは、年齢問わず喜ばれるので、家族での団欒時や手みやげに選んでも。今回取り寄せしたのは、カラメルがカバの形の容器に入った一番人気の「熱海プリン カラメルシロップ付」、懐かしいいちごミルクを思いおこす「熱海プリン いちご ベリーソース付」、古くから熱海で親しまれる“だいだい”みかんを使った「熱海プリン だいだいソースと千年井田塩付」、静岡県産の上品な苦味とコクを感じる「静岡抹茶プリン」、スタンダードな4種類のセット。昔ながらの牛乳ポストをイメージした箱に入って、封を開いたときの喜びもひとしお。

熱海プリン 公式通販サイト

 

日本一手間をかけた老舗のプリン

くず餅プリン 4個入(黒蜜&黄粉付) 1596円 発売元=船橋屋こよみ

「船橋屋こよみ」は、江戸時代から続くくず餅の老舗「船橋屋」が、創業200年を記念して立ちあげた姉妹ブランド。和菓子で唯一の発酵食品として親しまれるくず餅を元に新たな甘味を生み出そうと、くず餅職人とパティシェが試行錯誤を経て、この“日本一手間をかけた”「くず餅プリン」が誕生した。

 日本一の手間のというのは、船橋屋の元祖くず餅が、小麦粉の澱粉を450日かけて乳酸発酵で熟成させた発酵小麦澱粉を使用していることに由来する。手間暇かけて作るくず餅と同じ発酵小麦澱粉を、卵や牛乳と混ぜ合わせ、丁寧に蒸して仕上げる和風プリン。

 船橋屋伝統のコクのある黒蜜と、香ばしいきな粉が、もっちりとして口どけのいい独特な食感の生地にしっくりなじむ。食べ応えもあって、1つで十分な満足感を得られる。

船橋屋公式通販ショップ

 

人気宿の味わい濃厚プリン

日本百景 能登九十九湾 百楽荘 能登みるくと能登たまごの生ぷりん 海洋深層水塩添え 1500円(税込・送料別)発売元=TASTE LOCAL

 石川県能登町の、日本百景・九十九湾を一望できる「百楽荘」は、昭和9年からの歴史ある旅館。海と山がともにある能登の旬の食材を使った料理は誉れ高く、海に浮かぶ食事処も情緒的。洞窟風呂や専用の釣り桟橋もあり、日々の慌ただしさを忘れ、静かに穏やかにときを過ごせる。

 そんな大人のリゾートから届くのが「能登みるくと能登たまごの生ぷりん」。当初は宿泊客だけに水菓子として提供されていたが、おみやげに購入したいという多くの声が寄せられて、取り寄せ販売を始めた。材料に使っているのは、「能登の里山里海」として世界農業遺産に認定される、豊かな大地で育った能登みるくと能登たまご。スプーンですくうときはほどよいかたさを感じるけれど、口に入れた瞬間ふわっととろけ、卵とミルクの濃厚な風味がじんわりからだじゅうにしみとおる。

 1口目はそのまま素材を味わい、2口目は付属の能登海洋深層水塩をひとつまみ加えることで甘さが際立ち、3口目はもう一つ付属のカラメルをかけてより濃厚に香ばしく、4口目は塩とカラメルどちらもを合わせて甘じょっぱさを堪能・・・と、4段階に渡って味の変化を楽しめる。特別な食感と味わいに、あの人にもおすそ分けしたいなあと、親しい顔が浮かんでくる。

能登みるくと能登たまごの生ぷりん 海洋深層水塩添え