写真/青木和也 スタイリング/荒木義樹(The VOICE) 文/長谷川 剛(TRS) 編集/名知正登
ファッション以上の刺激をもたらす服
クリスチャン・ディオールの元でキャリアを重ね、1961年フランスはパリにて自身の名を冠したブランドを設立したムッシュ イヴ・サンローラン。
当初から豊かな才能を持つ天性のデザイナーであった彼は、モンドリアンルックをはじめパンタロン・スーツやシースルー、それにミリタリー・ルックなどを発表しモードの寵児として活躍。
特にメンズのアイテムであったタキシードを女性用にアレンジしたスモーキング・スーツはセンセーショナルであり、世界にその名を知らしめるきっかけとなった。
その後はレジオン・ド・ヌール賞やデ・ドール賞を受賞し、名実ともにモードの帝王として君臨。それまでにも豪華できらびやかな服を作り出すデザイナーは複数存在した。
しかしイヴ・サンローランは、その時々の男女差別や人種問題など、世相や社会問題をも意識し服作りに臨んだところにポイントがある。そしてそれゆえ逝去後も独自の美術館が設立され、天才の足跡は偉業として今に伝えられているのだ。
着るだけでなく見る者に刺激を与え、社会現象を引き起こすサンローランのアイテム。今なおそのパワーは衰えることなく、世界にモードという華やかな刺激を与え続けている。