ベースは1956年に製作のクロノグラフ

 この『ヘリテージ バイコンパックス アニュアル』のベースは、1956年に製作されたカール F. ブヘラ製のクロノグラフモデル。製作された50年代、いわゆるミッドセンチュリーは、デザインなど芸術好きにはとても魅力的な時代で、エーロ・サーリネンのチューリップチェア、イームズのラウンジチェア、ヤコブセンのアントチェアなど、ミッドセンチュリーモダンと呼ばれる家具などが発表されている。それらと同様に、腕時計にも数多くの名作が登場した時代でもあった。

 そんな時期に登場したクロノグラフモデルは、滑らかなカーブを描く直径34㎜のケースと、スリムなプッシュボタンを持ったスポーティなものだった。そして、カウンターは印象的なバイコンパックス。2つ目のクロノグラフは、この時代によく見られた魅力のあるデザインでもある。

ケースバックには各都市の名所が描かれており、東京モデルは「東京タワー」「レインボーブリッジ」「浅草寺」「スカイツリー」、そして「富士山」が描かれている

 現代のモデルは、ケースサイズが41㎜に拡大されている。さらにクロノグラフ機能に加え、1年に1回、3月1日に調整するだけで翌年2月の月末まで、毎日の日付、月名を修正なしで自動表示するという非常に便利な複雑機構、アニュアルカレンダー、そしてビッグデイトという高度な技術まで備わっている。もちろんクロノグラフモデルらしく、タキメータースケールも外周に描かれている。

 この「ホームタウンエディション」シリーズは、モデル名の都市でしか販売しない。『ヘリテージ バイコンパックス アニュアル ホームタウン TOKYO』は、日本国内でしか購入できないのだ。しかも、それぞれ88本の限定品。他の都市のモデルが欲しい場合は、その都市に赴かなければならないので、結構大変である。 

 

問い合わせ:スイスプライムブランズ カール F. ブヘラ事業部☎︎03-6226-4650