実店舗の売上高、2年前から0.7%減

 その背景には実店舗事業の伸び悩みがあるとみられている。アマゾンが先ごろ公表した年次報告書(FORM10-K)によると、21年における実店舗売上高は170億7500万ドル(約1兆9800億円)。前年比で5.2%増だったが、2年前と比べると0.7%減少した。

 ニューヨーク・タイムズによると18年の実店舗売上高は約172億ドル(約1兆9900億円)。この間、アマゾン全体の売上高は2倍に増えた。21年における全売上高は4698億2200万ドル(約54兆3400億円)だったが、そのうち実店舗が占める比率は3.6%にとどまっている。

スーパーやコンビニ、アパレルは継続

 こうした中、今後は17年に傘下に収めたスーパーマーケットチェーン「Whole Foods Market(ホールフーズ・マーケット)」や、直営スーパー「Amazon Fresh(アマゾン・フレッシュ)」、レジなし精算のコンビニエンスストア「Amazon Go(アマゾン・ゴー)」などに実店舗の経営資源を集中させる。

 アマゾンの広報担当者は「我々は引き続き、優れた実店舗の買い物体験とテクノロジーの開発に取り組んでいく」と述べた。同社は22年1月に「Amazon Style(アマゾン・スタイル)」と呼ぶ、同社初の衣料品販売実店舗を年後半にロサンゼルス市郊外に出店すると発表した

 スマホのアプリを利用した買い物体験が特徴の店舗だ。ハンガーなどに取り付けられたQRコードを読み込むことで試着したいサイズや色を選ぶことができ、選んだ商品は自動的に試着室に運ばれる。

 また同社は、Amazon Goに採用している無人決済システム「Just Walk Out(ジャスト・ウォーク・アウト)」を直営スーパーAmazon Freshにも導入している。21年9月にはこのシステムをホールフーズ店舗にも導入すると明らかにした。このほか、店舗用の手のひら認証システム「Amazon One(アマゾン・ワン)」も導入している。

 同社の広報担当者であるベッツィー・ハーデン氏は、今後、これら食品小売店やアパレル店、それらに導入するテクノロジーの開発により焦点を当てると説明している。

 (参考・関連記事)「アマゾンのレジなし決済、傘下ホールフーズに初導入 | JDIR