文=大谷達也
自動車の需要はまだ完全に回復していない
緊急事態宣言も解けて、かつての日常を徐々に取り戻している私たちのくらし。国内の自動車販売も、上半期の統計では新車販売が対前年比で12%も伸びたそうです。
もっとも、昨年の上半期といえば、まだコロナ禍のまっただなか。人々の活動も滞っていたわけですから、比較対象としては適当ではありません。そこで“コロナ”の影響がなかった2019年と比べると、依然として10%ほどのマイナスだったとか。ここに、半導体不足という予想外の事態が重なって、今年7月以降は販売減に転じているようですが、これはあくまでも産業界の都合であって、必ずしも市況を反映したものとはいえません。いずれにしても、自動車の需要はまだ完全に回復したとはいえないものの、徐々に“コロナ”前の状態に近づいているとはいえるでしょう。
そんな、穏やかな回復傾向を見せる一般の自動車市場とは対照的に、驚くほど好調に推移しているのが超高級車市場です。
たとえばイタリアに本拠をおくスーパースポーツカーブランドのランボルギーニは、もっともお手頃なモデルでも新車価格は2600万円以上。つまり、誰もが認める超高級自動車ブランドであるわけですが、セールスは絶好調で、2020年には史上最高の営業利益を記録したそうです。
「昨年は新型コロナウィルス感染症の影響もあって、およそ70日間会社をシャットダウンしていましたが、それでも過去最高の営業利益を達成し、販売台数の点でも史上第2位の成績を残しました」
そう語るのは、ランボルギーニのステファン・ヴィンケルマンCEO。私は今年3月と5月の2回に分けて、ヴィンケルマンCEOをリモートでインタビューする機会に恵まれました。