3モデルを2025年までにプラグイン・ハイブリッド化
これに続いてヴィンケルマンCEOが説明してくれた将来計画は実に明快なものでした。まず、既存のウルス、ウラカン、アヴェンタドールの3モデルを2025年までにプラグイン・ハイブリッド化してCO2排出量を50%削減するとともに、2020年代後半には「第4のモデル」としてピュアEV、つまりエンジンを搭載していない純粋な電気自動車を発売するというのです。
現在、ランボルギーニから発売されている量産車にハイブリッドモデルはありません。スーパーキャパシターを用いたハイブリッドカーを限定生産したことはありますが、これは実験的なモデルで、生産台数もごく限られていました。
いっぽう、ヨーロッパではプラグイン・ハイブリッド車(PHV)の燃費やCO2排出量の計測値に関して特別な優遇措置があり、これを活用したポルシェ・パナメーラ4SE-ハイブリッドは、最高出力が560psもありながら、燃費は45~50km/ℓと驚異的なデータをマーク。CO2排出量も47~51g/kmと、並みのコンパクトカーさえ凌ぐ低排出ガス車となっています。
こうした優遇措置を生かせば、ランボルギーニも現在と同等かそれを上回るパフォーマンスを実現しながら、ヨーロッパを始めとする各国で導入されている排ガス規制をクリアできると考えられているのです。
いっぽうで、一足飛びでEV化を進めないのは、現状の技術でスーパースポーツカーをEV化すると、車両重量が極端に重くなって軽快な操縦性を実現できないほか、1回の充電で走行できる航続距離も短く、既存の顧客を満足させられる製品を実現できないと考えられているからです。裏を返せば、「2020年代後半」にはそうした技術が実用化されると目論んでいるわけですが、おそらくランボルギーニから最初に登場するEVはスーパースポーツカーではなく、もう少し性能要件の低いスポーツサルーンかSUVとなることでしょう。
コロナ禍でも史上最高の営業成績を記録し、電動化に向けても万全の備えを怠らない。私たちの想像とは裏腹に、スーパースポーツカーメーカーの将来計画は意外にも堅実で盤石なものといえるかもしれません。