写真=飯田信雄 文=福留亮司
今年、創業130周年を迎えたドイツのナチュラルブランド、クナイプが新たな商品を発売し、それが好調なのだという。コロナを含め、ストレスフルな現代においては、入浴剤に求めるものにも変化が起きているという。クナイプジャパンの大脇明憲社長に、製品や入浴剤の現在について話を聞いた。
牧師であり医者でもあった
まず、クナイプという会社だが、1881年にセバスチャン・クナイプによってドイツで創業されている。
「創業者のセバスチャン・クナイプは、もともと牧師であり医者でもあったのです。人々の幸せ、健康のために奉仕していた人で、彼は健やかであるためには、部分的ではなく心と体両方へ全体的にアプローチすることが大切だという考えを130年前から持っていました。これによって、水療法、植物療法、運動療法、栄養療法、心と体のバランス、という5つの柱をフィロソフィとしており、それに基づいて、すべての製品が作られているのです」
そうやって作られる商品は多岐にわたる。バスソルトだけでなく、ボディケア商品、ハンドクリーム、美容オイル、リップクリームなどがラインナップされているのだ。
「クナイプ自体はドイツの入浴剤シェアNo.1なんです。いまはグループ全体での入浴剤の比率は、他の商品が伸びてきて、会社での割合は半分以下くらいになっていますが」
日本には1985年に進出している。
「間違いなく、日本というのはお風呂大国。バスソルトとしてのマーケットは大きいだろうということだったのだと思います」
日本の一般家庭に“お風呂”が付きはじめたのは、1960年代後半の高度成長期以降と言われている。昔から柚子湯や菖蒲湯など、季節によってお風呂に何かを入れるという習慣はあったが、毎日入浴剤を入れるという行為は、おそらく70年代以降になるのではないだろうか。