リブランディングによって見えてきた企業としての取り組み
一つ目は、宮坂醸造の財産となっていく取り組みとして「七号酵母」に徹底的に向き合い研究していくことです。酵母は生き物なのでそれぞれ個性や特性が違います。より良いものを選抜して、「七号酵母」の進化を突き詰めていきたいそうです。
二つ目は、こちらもすでに昨年から始めているそうですが、自ら発信するメディアを展開していくことです。今までも不定期で行っていたオンラインイベントを毎月定期的に行ったり、「BREW」というタブロイド誌を発行することで、酒蔵のことだけでなく、酒蔵を取り巻く地域の文化や自然、環境、人々の暮らしと言った魅力を発信していきたいそうです。
こうした媒体を通じた情報発信の内容からも、「日本酒とは土地の記憶を結実させた液体である」という考えを持つ宮坂勝彦さんのポリシーが見てとれるようです。
日本には100年企業が他の国に比べるとたくさんあると言われています。
それらがなぜこんなに続いてきたのか、それはそれぞれの時代を託された経営者たちが、時に大きな変革を起こし哲学を持って粛々と働いてきたからに違いありません。マーケットという近年の資本主義の波に押し流され、見失っていたその心が、多様性という時代を迎え、新たな方法で見直される時なのではないでしょうか。
自らの原点を見直し、未来に向けて大きく舵を切った宮坂醸造の改革を、諏訪の神様もそっと後押ししてくれているのかもしれません。
純米大吟醸「真澄 夢殿」は、国外における日本酒の品評会として最も長い歴史を誇る全米日本酒歓評会(U.S. National Sake Appraisal) 2021 で、金賞を受賞されました。