文＝熊谷朋哉（SLOGAN） 写真＝下家康弘 ヘアメイク＝千絵（HMC）
産業革命に匹敵する変化の中で
──すごくざっくりとした質問になるけれど、今後、世界はどうなると思いますか。
（笑）難しいな。ひとことでは語れませんよね。ただ、すごい時代になってきているなとは感じます。この2020年は将来絶対に教科書に出ることになるだろうし、いま僕らが経験しているのは、産業革命にも匹敵するような変化なのかもしれない。
──確かに。
この変化が全ての人にとって明るいものかどうか、それはわからないけれど、それも、ここからの僕たちにかかってるんじゃないかと思います。それを意識して生きられるかどうか、そして、どう動いていくか。それが大きいんじゃないかと思います。どう適応していくか、どう持続性を持たせられるか。何より、希望を持って今はやるべきことをやっていくしかないんじゃないかなと。
人と触れ合う感覚
──そんな中で、今だからこそ大切に感じられるものはありますか。
うーん、匂い、ですかね。温度でもいいんだけど。
──匂いと温度？
旅をして、人と触れ合って、場所や人の匂いを感じる。そのことが今なかなか難しくなったわけじゃないですか。今までは当然のことだったのにね。だから、今、そういう匂いや温度みたいなものがすごく貴重なものになってくると思います。今後はデジタルで匂いや温度も感じたり、遠くにいる人に届けたりできるかもしれない。
──新型コロナ以降、デジタルなものだけに触れることが、誰にでも増えていますし。
そうですね。だから、アナログ・レコードを好きな感覚にも近いのかな？ いくら制作のプロセスや伝達方法がデジタルになっても、僕らの身体がアナログであることは変わらない以上、やはり人ありきだと思います。感情が完全に数値化されない限りは。そして場所や人の匂いだけじゃなくて、時代の匂いや温度というものもある。アナログな僕らの身体は、やっぱりそういうものとシンクして生きていくんだろうなと思っています。
どれだけ燃え尽きることができるか
──さて、インタビューのテーマである、“このような時代の「カッコいい」とはなにか”なんですが。
僕の「カッコいい」の定義は変わらないですね。熱くあること。生きるか死ぬかの場面において、どう生きるか。生きるかどうかに関して、まっすぐかどうか。表面的にはカッコ悪くとも、まっすぐであれば、「カッコいい」に値すると思うんです。
──いいね。
目の前のものごとを、長いスパンも踏まえてどのように捉えられるか。毎日成長できているかどうか。どれだけ燃え尽きられるかどうか。いま、燃え尽きることができるのか。
──今日は燃え尽きていますか？
（笑）もちろん。いつも、毎回、燃え尽きてます。
──長い時間、どうもありがとう！
GUCCI＋MIYAVI 再生素材やオーガニック素材、
INFORMATION
9月4日（金）配信：EP「Holy Nights（Lockdown 2020）」リリース
9月14日（月）配信：シングル「Over the Rainbow」リリース
PROFILE
エレクトリックギターをピックを使わずに全て指で弾くという独自の“スラップ奏法”でギタリストとして世界中から注目を集め、これまでに約30カ国 350公演以上のライブと共に、8度のワールドツアーを成功させている。2019年7月、ドジャースタジアムで行われた大リーグ始球式での国歌演奏で観客を魅了し、日本、アメリカにて話題騒然となった。アンジェリーナ・ジョリー監督映画「Unbroken」(2016年日本公開）では俳優としてハリウッドデビューも果たした他、国内では「BLEACH」「ギャングース」、国外では「キングコング：髑髏島の巨神」「マレフィセント2」（2019年10月18日、日米同時公開）への出演、モデルとして、Yohji Yamamoto、Y-3、最近では、Moncler Beyond ワールドワイドキャンペーンに抜擢されるなど、各方面でも注目を集めている。映画『Mission: Impossible - Rogue Nation』日本版テーマソングのアレンジ制作、HONDAコマーシャル楽曲、SMAPへの楽曲提供をはじめ様々なアーティスト作品へ参加するなど、国内外のアーティスト／クリエイターから高い評価を受けている。2017年には日本人として初めてUNHCR（国連難民高等弁務官事務所）の大使に就任。2020年4月には最新アルバム「Holy Night」をリリース。また新プロジェクト「MIYAVI Virtual LIVE」をスタートさせ、コロナ禍の状況下においても止まることなく、「配信」という新たな形で表現の場を自ら広げている。2020年6月、GUCCIがグローバルに展開するコレクション「Gucci Off the Grid collection」の広告に起用される。GUCCIの広告に日本人の著名人が起用されるのは初の快挙。常に世界に向けて挑戦を続ける"サムライ・ギタリスト MIYAVI"。今後も彼の活動は止まる事はなく、最も期待のおける日本人アーティストの一人である。
