本コンテンツは、2020年7月22日に全編オンラインで開催されたJBpress主催「Sales Innovation Forum 2020 ~デジタル活用で進化するリモートワーク時代の営業とは~」での講演内容を採録したものです。
横河電機株式会社
常務執行役員
マーケティング本部 本部長(CMO)
阿部剛士氏
「DX×withコロナ」。そんな歴史的変化のもとで営業職は・・・
最初に、非常に大きな歴史的変化が起きていることを皆さんと確認したいと思い、分かりやすく「BC→AD→DE」と表現しました。BCはご存知の通り紀元前の世界、ADは紀元後です。
DEは何かといえば、デジタル・エラ(デジタル時代)。DXをはじめとする劇的な変革が今世界中でなされようとしており、これによって到来すると予想されている社会、時代を私が勝手にDEと名付けました。
ともあれ、これくらい大きな変化がデジタルによってもたらされるという見解には、すでに多くのかたが共感されるようになっていました。そんな矢先に現れたのがCOVID-19、すなわち新型コロナウイルスによるパンデミックでした。
私の捉え方では、すでに世の中はagainstコロナからwithコロナの段階へ進もうとしていますが、afterコロナと言えるようになるには、ワクチンの開発や治療体制が確立するまで、今しばらく待たねばなりません。
ともあれ、DEと呼べる新時代への移行はすでに始まっていて、なおかつ人類はCOVID-19を乗り越えてafterコロナへと進んで行きます。こうした変革期において、セールスやマーケティングは「どうなるのか?」「どうあるべきなのか?」について、これからお話したいと思います。
最初に、営業現場に押し寄せているコロナの影響を考えてみましょう。問題は数々上がっています。端的な例を挙げれば以下の通り。
・顧客訪問ができない
・社内のIT環境がテレワークやリモート営業の対応に不足している
・社内会議が対面でできない
・売上が上がらない
ではどうすればいいのか?
・「対面しない営業」の確立
・社内ITの強化
・社内業務を極力電子化
というように、明確な対応策はわかっています。しかし何より重大な影響は「売上が上がらない」という点。これに対応するにはどうすれば良いのでしょうか。私なりに答えを考えてみました。
・「顧客の課題を発見し、解決へ導く」という営業に課された目的を再認識して行動する
・見込み客を集め、受注の確度が高い顧客に対し重点的に営業活動を行う
・既存顧客に対するフォローをしっかり行う
・新規顧客獲得が困難だという問題に解決策を見出す
いずれも容易ではありません。言うのは簡単ですが、実行するのは非常に難しい。ただ確実に言えるのは、BtoB営業に限らずあらゆる業種・職種において、カスタマージャーニーが様変わりをしました。
コロナの影響を最も大きく受けた産業の1つである外食業などでは、数十項目にわたるガイドラインの遵守を強いられています。その多くはagainstコロナもしくはwithコロナにおける対策ですが、afterコロナの段階がやってきたとしても、様変わりしたカスタマージャーニーに寄り添うことが求められるでしょう。
皆さんもお気付きのとおり、あらゆる仕事が顧客に寄り添うことを従来以上に求められる。いわゆる営業職にも例外なく「顧客に寄り添う営業活動」が問われているのです。