写真・文=橋口麻紀
イタリア生活の”真実”を求めて
北イタリアのモデナでの生活が始まって約1年が経ちます。気がつけばイタリア人と家族になり(つまり結婚して)早12年。イタリア企業勤務という仕事を含め、イタリア人との関わりは私の人生を豊かなものにしています。
長い時間を共有しても、まだまだ奥が深く、掘り下げるといろいろあるイタリア人との生活ですが、喜怒哀楽の表現、ヴァカンスを愉しむための勤勉さなど、考えたら人としてとてもシンプルなのかもしれません。そんなイタリア人ですが、日本ではイタリアというと、南イタリアのイメージが強い感がありますが、私の家族は北イタリア出身であり、冒頭で述べたように、私たちは北イタリアのモデナに住み暮しています。
とても真面目なイタリア人の、その日々の生活シーンから、ほんとうのイタリアを知っていただけたら嬉しく思います。
オー! マンマ・ミーア!
イタリア人は、ご存知のとおりマンマ(ママ)の教えからすべてがまわっていると言っても過言ではありません。良い時も悪い時もイタリア人が咄嗟に出る言葉は「マンマ・ミーア!」なのですから、どれほどマンマの影響が強いか想像していただけるかと。わがミオ・マリート(ダンナさま)も、もちろんマンマの教えに従いこれまでの人生を歩んできたのです。もちろん、これからもそうでしょう。
そんなマンマの教えのひとつに、服装術というかスタイルを完成させるカラーコーディネイト術があります。幼少の頃から、自然にインプットされているカラーリングのテクニックに、私は毎朝感心しています。ちなみに、ミオ・マリートが出勤するのは、7時30分くらいです。イタリアの朝はとてもゆっくりしているイメージがあると思いますが、真面目なイタリア人は朝活です。
朝早いにもかかわらず、カラーコーディネイトをほぼ毎日励行しています。現在は、マンマではなくアタクシが最終確認の担当です。そのコーディネイト術というのは、その日のスタイリングのなかに必ず、どこかしらに同じカラーが入っていなければならないというダイレクションです。
やっぱりブルーが好き
イタリア人が大好きなカラーはブルーです。イタリア人が熱狂するスポーツといえばサッカー、そのイタリア代表のシンボルカラーがアズーロ(イタリア語で青)であることからもわかるように、イタリア人の多くがブルー、いわゆるネイビーがとても好きなのです。
モード界の帝王、かのジョルジオ・アルマーニさんのトレードカラーもネイビーです。ランウェイショウの最後には、アルマーニさんはネイビーのTシャツで登場します。イタリアファッションを代表するカラーといってもよいですよね。もちろん、ミオ・マリートも例外ではなく、ブルー好きです。
なぜ、そこまでカラーリングのこだわるのか、と訊いたことがあります。もちろん、ファッションに気を配っている方は当然なことなので、イタリア人に限ってのことではないかもしれないのですが……。
その答えは、「マンマから子供の時から自然に学んでいた。だから、守らなくてはいけないんだ、と」。食育ならぬ、装育なんだとつくづく思いました。
そんな、ファッションも真面目にマンマの伝授を守り続けるイタリア人。微妙なネイビーブルーのコーディネーションを創り出すクリエイティビティは、マンマの教えなのでした。