“農業×IoT”の取り組みを表彰するアワード
PSソリューションズは、2017年2月23日より応募を開始していた「第1回農業IoTアワード」について選考を終了しノミネートされた9団体を紹介。そのグランプリを決定する「第1回農業IoTアワード表彰式」を開催した。
ノミネートされた9団体は以下の通り。
JA栗っこ
GRA
テザミス(伊藤忠飼料)
テラスマイル
北海道士幌高等学校
宮崎県立農業大学校
ヤマタネ
京都府与謝野街
Listenfield
当日は上記の9団体によるプレゼンテーションを実施。審査の結果、宮城県山元町でいちご農家を営むGRAにグランプリが贈られた。
GRAの発表は同社の橋元洋平氏が担当。同社の取り組みについて紹介された。山元町はもともといちご農家が130件あるなど多かったのだが、東日本大震災の時に、いちごハウスの95%が津波にのみ込まれるという被害を受けた。この影響もあって、6年間で20%以上の人口が流出したそうだ。
GRAは2011年の秋から3人で手作りのハウスを作り、いちごの生産を開始。2012年の1月には初収穫を迎えた。その際にはITを導入した最先端のいちご栽培へ転換した。同社が何をしたかというと、「匠の技」の定量化をしてIoTを活用すること。同社のベテランからは「15年俺の背中を見たら、いちご作りができるようになる」といわれたそうだが、「そんな時間はかけていられない」と橋元氏。そこで温度や湿度、日射、CO2といったデータを把握しながら、植物の生育に適した環境を作り上げてきた。
こうした取り組みにより「ミガキイチゴ」が誕生。1粒1000円もする高品質のいちご栽培に成功した。それ以外にもスパークリングワインなどの商品も作ったそうだ。
現在同社は、インドも含めて6圃場を展開中。環境制御を導入してネットワーク化し、より最適な栽培方法の開発に取り組んでいるのだとか。
なお新規で就農したいというニーズに応えるため、映像を使っての研修も行っている。そのビデオを見ながらベテランと新人が熱く議論を戦わせているとのことだが、これまでは暗黙知であったものが、映像化することでどういうことを伝えたいのか、どういうことを言ったらいいのかが分かるようになったそうだ。「現場だけでなく映像で振り返ることができる。リークタイムを短くして、営農サイクルを早くすることにも取り組んでいる」(橋元氏)。
これまで同社は研修から栽培までにITを活用してきたのだが、「今後は収穫のところで、どのような商品がどのくらい収量が取れている といったデータも読み取れるようにしたい」と橋元氏。それを元に販売へつなげる取り組みをしていくとのこと。「新規就農の方にもこのようなIT活用を取り入れてもらい、大きなデータを元に最適化した栽培につなげていきたい」(橋元氏)。