出所:日刊工業新聞/共同通信イメージズ
優れた人材の確保、活用がますます企業の競争力を左右する時代になってきた。それに伴い、人事領域をつかさどる人間が経営に参画することの必要性が高まっている。人事戦略と経営戦略はどのようにリンクさせ一体化させるべきなのか? ヤフーで人事部門のトップを務め、現在は企業の人材育成や 1on1 ミーティングの導入指導に携わるパーソル総合研究所取締役会長の本間浩輔氏が、「経営人事」を深掘りしていく。
今回から5回にわたり、LINE ヤフーで人材開発・採用の責任者を務める中村有沙氏に事業会社で重要性が増しているHRBP(HR ビジネスパートナー)とPMI(合併後の統合)に聞く。中村氏はHRBP としてヤフーでメディア・検索事業や広告部門などの事業部門を支えた経験を持つ。また、LINEとヤフーの経営統合では人材開発・採用の本部長としてPMI を進めている。そんな稀有なキャリアを持つ中村氏は何を語るのだろうか。
人事として珍しいキャリアを持つ中村氏
皆さん、こんにちは。本間浩輔です。この連載では、「経営人事の仕事論」というテーマで「経営人事」について深掘りしていますので、お付き合いのほど、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、今回の記事でご紹介するのは、LINEヤフーの人事総務統括本部ピープル&カルチャーデベロップメント本部の本部長を務める中村有沙さん(肩書きは2025年3月当時)です。彼女もまた僕が講師を務める慶應丸の内シティキャンパス(慶應MCC)の講座「経営人事の仕事論」に登壇いただきました。
中村さんはもともとビジネス職としてヤフーに入社しましたが、2012年の経営改革の際に、人事部に異動してきました。この時の経営改革はかなりの規模で、僕が門外漢の人事本部長に就任することになったのも、この時の経営改革がきっかけです。
人事に来た中村さんは、2012年から2016年までの4年間、従業員満足度調査の導入や社内の組織開発、経営と社員の対話の場づくりなどで活躍。その後は1年間、ヤマト運輸の人材育成部門に出向して経営幹部や店長向けの研修などを担当しました。
このように、中村さんは他社の人事を経験しているという、LINEヤフーの中でも珍しいキャリアの持ち主です。この時の経験が彼女の人事としての幅を広げたと感じています。
ヤマト運輸から戻ってきた後は、人事部HRBP(HRビジネスパートナー)の部長や本部長を歴任しました。
HRBPとは、いわゆる本社やコーポレートの人事ではなく、事業部門の経営者や責任者のパートナーとして事業成長を人と組織の面からサポートする存在。中村さんも、メディア・検索事業や、広告部門、決済金融事業やPayPay株式会社・金融系中間持ち株会社の立ち上げなど、HRBPとして事業部門を支えました。
そして、LINEとヤフーなどが合併した2023年10月以降は、LINEヤフーの人材開発・採用の責任者として人材開発や組織開発、採用などを管掌しています。
そんな中村さんを慶應MCCのセッションにお呼びしたのは、3つの理由があります。






