シチズンの30周年記念モデルは藍染和紙の美学が詰まった２つとない腕時計｜シチズン『ザ・シチズン30周年記念モデル』

1995年の誕生以来、時計の本質を追求し続けてきた「ザ・シチズン」が、30周年の節目に放つ記念モデルは、日本の伝統技法と最先端技術が織りなす美の結晶である。叢雲（むらくも）絞り染めを施した土佐和紙文字板を採用したこの限定モデルは、まさに空に浮かぶ雲のように、ひとつとして同じ表情を持たない稀有な存在だ。

伝統技法が生み出す、完全なる一点モノ

この時計の最大の魅力は、何といっても「叢雲絞り染め」という伝統技法で染め上げられた藍染和紙文字板にある。生地を圧縮してシワを作り出し、そこに藍を染み込ませることで生まれる染めムラ模様は、まさに偶発性を芸術へと昇華した作品だ。ランダムに寄せられたシワの間隔や強弱が、藍の濃淡となって現れ、まるで空に漂う雲を切り取ったかのような幻想的な印象を与える。

土佐和紙は、光を透過する素材として古くから障子や行灯（あんどん）に用いられてきた。その特性は、光発電エコ・ドライブの文字板素材として理想的であり、同時に日本古来の美意識を繊細に表現できる素材でもある。「ザ・シチズン」では、これまでにも和紙文字盤を採用したモデルが話題を呼んできたが、今回の叢雲絞り染めは、その伝統技法の美しさをさらに強調したモデルとなっている。

特筆すべきは、この文字板が完全なる一点モノである点だ。染色工程における和紙のシワの寄せ方はランダムであり、同じ模様が生まれることは二度とない。つまり、この時計を手にする300人それぞれが、世界で唯一の表情を持つ時計を所有することになる。これは、個性が重視される現代において、非常に魅力的な要素だ。

またこの時計が持つもうひとつの意義は、伝統技法の継承という側面だ。叢雲絞り染めのような日本古来の染色技法を現代の高級時計に取り入れることで、次世代にその美しさと価値を伝える役割を果たしている。グローバル化が進んだ現代において、こうした文化的アイデンティティを持つ製品の存在は、非常に重要な意味を持つ。

さて、この美しい文字盤を引き立てるのが、デュラテクトDLCを施したスーパーチタニウム（TM）ケースである。艶のあるブラックカラーが藍染和紙の深い青と絶妙なコントラストを生み出し、時計全体に洗練された印象を与えている。このケースは、ダイヤモンドライクカーボンコーティングにより、美しい輝きを長時間保持、その滑らかな手触りも魅力のひとつだ。

スーパーチタニウム（TM）は、ステンレスより約40%軽量でありながら、約5倍の硬度を誇り、錆びにくく肌にも優しいという特性を持つ。これにより、日常的に身に着ける時計として理想的な着け心地を実現している。特に、金属アレルギーを気にする人にとっても安心して使用できる点は、現代のライフスタイルに配慮した設計といえる。

ストラップには、LWG（レザーワーキンググループ）認証を受けたタンナーによるワニ革を採用し、環境への配慮も忘れていない。ブルーカラーのストラップは文字盤の藍染と呼応し、全体の統一感を高めている。

そして、見た目の美しさだけでなく、この時計の核心は年差±5秒という驚異的な精度にある。これはネット接続や電波受信に頼ることなく、スタンドアローンで実現される精度であり、真の意味での「高精度時計」の証である。

光発電エコ・ドライブムーブメントは、定期的な電池交換が不要で、フル充電時には約1.5年間の連続稼働が可能だ。さらに2100年2月28日まで修正が不要なパーペチュアルカレンダーを搭載し、うるう年などの複雑な日付変更も自動で処理する。また、強い衝撃による針ズレを検知し、自動で修正する針自動補正機能や、深夜0時ちょうどにカレンダーが瞬時に更新される日送り機能など、日常使用における利便性も高レベルで追求されている。

さらに付け加えたいのは、シチズン オーナーズクラブへの登録により、最長10年間のメーカー保証が受けられる点だ。これは、時計を単なる装身具ではなく、人生のパートナーとして位置づけるブランドの姿勢を明確に示している。

世界限定300本、希望小売価格484,000円（税抜価格440,000円）で、2025年8月7日に発売予定のこのモデルは、シチズン フラッグシップストア、シチズン プレミアムドアーズ、シチズン コンセプトショップでのみ取り扱われる。30年間培われた技術と美意識の集大成として、そして次の30年に向けた新たな挑戦の象徴として、この記念モデルは大きな注目を集めそうだ。