7月1日に世界初公開となったフェラーリの新型車「アマルフィ」とフェラ=リのチーフ・マーケティング&コマーシャル・オフィサー エンリコ・ガリエラ(出所:フェラーリ)
イタリアのスポーツカーブランド「フェラーリ」が目覚ましい成長を遂げている。2021年には、コロナ禍の中で前年比23%増の売上高、同37%増の純利益を達成。その後も勢いはとどまることなく、2024年には売上高、利益ともに過去最高を記録した。フェラーリの躍進の秘密は何か。長年フェラーリを追い続けてきた自動車ライターの大谷達也氏はそのマーケティング戦略に注目する。
販売台数は2倍弱しか伸びていないにもかかわらず利益は6倍以上に
今年(2025年)4月29日にミッドシップ・スーパースポーツの限定モデル「296スペチアーレ/296スペチアーレA」を発表したかと思えば、それから2カ月あまりが過ぎた7月1日にはラグジュアリークーペ「アマルフィ」をリリースするなど、ここのところニューモデルを精力的に世に送り出しているフェラーリ。その背景には、どのような戦略があるのだろうか?
フェラーリの販売台数、売り上げ(Net Revenue)、利益(EBIT・税引前純利益)を1年ごとにまとめた表(出所:著者作成)拡大画像表示
ここに掲げた表は、フェラーリの販売台数、売上(Net Revenue)、利益(EBIT・税引前純利益)を1年ごとにまとめたものである。2011年から2024年までの間、コロナ禍の影響で2020年だけは売上と利益が対前年比で低下したものの、それ以外の年は見事に右肩上がりで増え続けていることがお分かりいただけるはずだ。
とりわけ注目すべきは、販売台数はこの間に2倍までは伸びていない(それでも驚異的な成長率だろう)にもかかわらず、売上は3倍以上、利益に至っては6倍以上にまで増えている点。それだけフェラーリは効率的な経営を実現していることになる。






