ソンウン文化財団の複合文化スペース「SONGEUN」(ソンウン)でのインドネシアのアーティスト、トロマラマの展示

有名建築家の巨大企業ミュージアム、ブランドギャラリーの競演

ソウルにある数多くの現代アート美術館、企業ミュージアムやブランドショップ付属のギャラリーは、規模も数も質も建築美も、世界屈指だ。

「SONGEUN」はスイス・バーゼル出身の建築家ユニット、ヘルツォーク&ド・ムーロンの作品

筆頭は、2004年に設立され、サムスングループが年間運営費約20億円を投じるLeeum(リウム)美術館。建物はマリオ・ボッタとジャン・ヌーヴェル、レム・コールハースが手がけ、建築ファンなら入館前から感激が止まらない。

「リウム」で、人気の撮影スポットとなっている、マリオ・ボッタ設計の階段
「リウム」には、ロダンなど近代美術のマスターピースとともに、高麗磁器のコレクションも。サムスン文化財団のアート支援は年間約50億円
https://www.leeumhoam.org/leeum

難解コンセプトもスッと腹落ち。美術館の空間の力の成せるワザ

「リウム」では「岡山芸術交流 2019」でアーティスティックディレクターを務めたピエール・ユイグ展を鑑賞。リアルとフィクション、人間と非人間――難解だと思っていたユイグのコンセプトが、SF映画のような非日常空間で鑑賞することで、スッと腹落ちした感覚があった。

「リウム」の展示室は、SF映画のような巨大空間。ピエール・ユイグ展は2025年7月6日まで

2013年開館した「国立現代美術館ソウル館」では、ロン・ミュエック展を観る。

ロン・ミュエックはイギリス在住のアーティスト。韓国での初個展は「国立現代美術館ソウル館(MMCA)」で2025年7月13日まで
https://www.mmca.go.kr/jpn/

こちらの展示会場も大空間で、そこで人体のサイズを拡張させたスーパーリアルな彫刻作品と対面すると、シュールな浮遊感に酔った。巨大な頭蓋骨100個に見下ろされるインスタレーションには、人間存在の小ささを痛感する。作品に込められた作家のメッセージに全身が共振する感じだ。

100個の巨大な頭蓋骨《Mass》(ロン・ミュエック 2017)の部屋は、生の無常を訴えるカタコンブのような眺め

「浴びるように見る」アート体験が、あなたの人生を変えるかもしれない

「浴びるように観る」

ソウルのメガミュージアムで味わえるのは、圧倒的な空間でアーティストの世界観に没入する体験。本来、現代アートは「わかる・わからない」ではなく、「考えるな、感じろ」のはずだ。圧倒的な視覚体験から既成概念が壊れる、その快感が醍醐味だ。

韓国コスメブランド「アモーレパシフィック」は、年間約8億円を投じて美術館を運営。こちらも目眩がするほどの展示空間で、屏風の展示が小さく見えた
https://apma.amorepacific.com/index.do

あなたの人生を変えるかもしれない、そんなアート体験が、たった数時間のフライトで行けるソウルにある。

ぜひ、「現代アート推し」の人になってほしい。

「メゾン・エルメス・トサンパーク」は、地下1階に韓国人アーティストの活動を支援するギャラリーがある注目の女性作家、アヨン・キムの作品を展示していた
https://www.hermes.com/jp/ja/find-store/south-korea/seoul/hermes-maison-dosan-G16N38FW/