12月10日まで全席自由・特急券100円で乗車可能

 さてこのように古き良きロマンスカーのスタイルを伝承している1000系だが、さすがに小田急電鉄時代のままで走るわけにもいかず、11両だった編成は4両と随分短くなってしまった。塗装もラインの色が長野電鉄のカラーに変わっているのだが、塗り分け自体は昔のままなので、こちらはよく見ないと分からない程度。

 全国では、大手私鉄で古くなった車両を地方の私鉄が譲り受けて走らせている例がたくさんあるが、このように特急車両が走っているというのは富山地方鉄道や富士山麓電気鉄道など数える程度。

 しかも現在の小田急ロマンスカーでは先述した連接台車は採用されておらず、他の連接台車の車両というと三岐鉄道の一部や、江ノ島電鉄、東急世田谷線といった路面電車で走っているのみなので、長野電鉄の1000系は国内でもかなり貴重な車両ということになる。

シートや床は往時のまま。車内に入ればロマンスカー時代にタイムスリップ

 そんなレアな存在の特急「ゆけむり」だが、現在は土休祝日のみの運転となっている。展望席のある先頭車両も通常は座席指定券の購入が必要なのだが、12月10日までは全席自由席となっているので、特急券の100円のみで乗車が可能。そのため競争率も高いことが予想されるので、展望席に乗りたい人は早めにホームで待っておいた方がよいだろう。

元JRで「成田エクスプレス」として走っていた車両も、特急「スノーモンキー」として活躍している(現在は平日のみ)

 また各駅停車と同じくらいの時間をかけてゆっくりと走る観光案内列車「特急ゆけむり~のんびり号~」や、日にちは限られるが長野県産のワインが飲み放題の「北信濃ワインバレー列車」も走っている。長野県といえば日本のワインの4大産地で、今はちょうどブドウの収穫時期でもある。フレッシュなワインを味わいながら旧ロマンスカーで善光寺平の乗り鉄旅もおつなもの。