文=甲斐みのり 撮影=平石順一

サニオムセット1セット(冷凍サニーパン17個、冷凍オムレット2パック(計10個))3880円(税込・送料別) 販売元=シロヤ

北九州のソウルフード

『日本全国 地元パン』という本を作るほど日本各地に根付くパンが好きで、日頃からさまざまな土地のパン食べ歩いています。そのためよく「一番好きなパンは?」という質問を受けるのですが、どのパンにも愛着があるうえ、それぞれに個性や歴史があって、一番を選ぶことはとても難しい。それでも「今の自分が個人的に好みな味で10本の指に入るもの」と、ちょっと面倒な回答をすることがあるのですが、福岡・小倉駅前の店舗を訪れ初めて味わった20年近く前から、10本の指に入り続けているのが、昭和25年創業のベーカリー「シロヤ」の「サニーパン」。北九州では誰もが知るソウルフードです。

 小倉駅前商店街の入口にあるシロヤは、カウンター式のショーケースにパンや焼き菓子がずらりと並び、対面販売をおこなっています。オープン時間から客足が途切れることなく、いかにまちの人に愛されているか伝わってきます。商品のほとんどは、子どもが小銭を握りしめて、おやつに買えるくらいの手頃な価格。毎日食べて飽きがこない素朴で優しい味わいで、たちまちファンになりました。

 中でも、一口食べた瞬間に「また食べたい」「もっと食べたい」と大きく食指が動いたのが、もぎゅっと引きのあるソフトフランスに、とろりと甘い練乳を注入したサニーパン。食べ進めるうちに、生地からじんわり練乳が溢れ出て、手のひらも口の中も幸せいっぱいです。

じんわりと溢れる練乳がたまらない「サニーパン」

 サニーパンが誕生したのは昭和41年。太陽のような明るいイメージから名付けられたそう。店頭には売り場に併設した工房で作る焼きたてが並びます。

 シロヤにはたくさんの名物があるのですが、サニーパンと並んで人気なのが、昭和39年に誕生した小ぶりの「オムレット」。先代社長に長女が生まれたとき、幼子の手のひらを眺めながら考案したといいます。地元の卵を使って焼き上げるふわふわの生地と、なめらかなバタークリームは、軽やかな後味。一人で何十個と買い求める人がいるのも日常の風景です。

軽やかな後味でいくらでも食べられてしまう「オムレット」

 そんなシロヤの名物、サニーパンとオムレットがセットになって、冷凍の状態で取り寄せできると知ったとき、歓喜したのは言うまでもありません。サニーパンは冷凍庫から取り出して90分ほど自然解凍し、表面が香ばしく色づくほどにリベイクすれば、パリパリの外生地と、ふんわりの中生地にジュワッと練乳が染み込む独自の風味をたのしめます。オムレットは、冷凍したままアイスケーキのように味わうもよし、30分ほど自然解凍すればふわトロ食感を再現できます。

 お取り寄せのセットは、冷凍サニーパンが17個 とたっぷり入っているので、ご近所さんにもお裾分け。みんな一度食べると、シロヤのトリコになるのも嬉しい。「いつか一緒に北九州を訪れ、現地でサニーパンやオムレットを味わおう」と、未来の旅の話に花が咲きます。