文=甲斐みのり 撮影=平石順一
干物を作り始めて100年以上
東京から1時間半あれば到着する小田原は、忙しいさなかにちょっと息抜きしたいとき、気軽に向かうことができるところ。城下町や東海道の宿場町として栄えた歴史があり、今も風情ある風景が見つかります。少し前に訪れたときは、かまぼこ、おでん種、けずりぶし、梅干しと、名産品をどっさり抱えて帰りました。
そのとき、地元の方にとっておきのお気に入りのお店として案内していただいたのが、“早瀬のひもの”と呼ばれ親しまれる「早瀬幸八商店」。
大正元(1912)年に早瀬幸八さんが魚の卸問屋のかたわらに、あじやかますの干物を作り始めて100年以上。小田原漁港にほど近い御幸の浜からすぐの店舗には、壁一面に干物の木札がぎっしりと。ひとつひとつ魚の名前を確かめながら干物を買うひとときは、旅先で食材を選ぶことが大好きな食いしん坊にとって至福の時間でした。
無添加にこだわり、肉厚で脂がのった早瀬のひもののおいしさの理由は、魚、水、塩と、干物に欠かせない3要素が全て良質であること。毎朝、小田原魚市場で仕入れる、姿がよくて脂がのった魚を直接仕入れ、箱根山水系地下水の地下水と、素材の旨みを引き立てる海水100%の国産塩を使って干物に仕上げます。
旅先で干物を購入するとき、同行者から聞こえてくるのが「一人で食べ切れるかな」「狭いキッチンで調理するのが大変そう」という声。干物は魚焼きグリルがなくともフライパンで焼くことができるうえ、生魚より長持ちする保存食なので、イメージ以上に手間をかけず味わえることを伝えると、みなさんほっとした表情を浮かべます。
朝食や夕食に、ほかほかの白ごはんと並べて、“ザ・日本の食事”としてはもちろんのこと、パスタ、チャーハン、カレーやサラダと、さまざまな料理にアレンジができるのもいいところ。
けれども「やっぱり、ちょっと面倒じゃない……?」と不安を抱かれる方、安心してください。早瀬のひものには、火を入れずに電子レンジで温めるだけで、炭火の直火で焼き上げた香ばしい干物を楽しめる「焼いてありますシリーズ」なるものがあるのです。これなら気軽に食卓に、干物を取り入れることができます。
お取り寄せ可能な「お1人様バラエティ焼いてありますセット」は、「炭火焼あじ・炭火焼かます・炭火焼さば醤油干・炭火焼いわし・燻製さば・燻製さけ・お母さんの焼きさば・おにぎりのしゃけ」8品の詰め合わせ。おにぎりのしゃけ以外は真空パックなので日持ちもじゅうぶん。日替わりで異なる種類の干物を、食事のおかずやお酒のおつまみに。
大勢で集まるときや、贈り物にも、喜ばれること間違いなしです。