なぜ日本からはユニコーン企業が生まれないのか。それは周囲が、事業を通じた支援を十分にしきれていないからではないか。そう考えた、シリコンバレーにも詳しい人物が、すべてのスタートアップとその共創者のために立ち上げたプログラムがある。

実はスタートアップが本業に集中できていないという現状

 日本では日々、多くのスタートアップが生まれ、成長している。しかし上場前で時価総額が10億ドルを超える、いわゆるユニコーン企業となると限られる。「10社程度しかありません。アメリカと比べた場合、日本のGDP規模であれば138社あっていいはずなのに、10分の1にも満たないのです」

 そう話すのは、レノボ・ジャパンでイノベーションや変革を支援するビジネスを牽引する中田竜太郎氏だ。総合商社勤務時にはシリコンバレーでスタートアップへの投資を担っていた中田氏は、日本でユニコーン企業が生まれにくい背景に、スタートアップの成長を支えるエコシステムの“若さ”があるという。

レノボ・ジャパン合同会社 Head of Solution Business Development Innovation & Transformation 中田 竜太郎氏

「日本のスタートアップエコシステムの規模感は、アメリカのわずか45分の1ほど。投資も小粒なものが目立ち、キラリと光るスタートアップをしっかりと支え成功確率を上げるという段階には至っていない印象です」

 そこでレノボでは、専門分野であるコンピューティングでスタートアップの支援するプログラム『Lenovo for start-ups』を用意した。「このプログラムは知識、製品、そして支払い面で抱えがちな課題を解決するもので、起業初日からでも、PC1台からでも利用できます」

 ただ、起業する若者たちはデジタルネイティブ世代で、PC1台なら手持ちのものを使っても量販店で購入しても良さそうだが「それは、セキュリティに配慮したIT環境の構築を一手に担ってくれる情報システム部門などが、所属組織にある方の発想です」と中田氏。

 起業家はAIやバイオなど事業のコアについての知見は深いが、IT環境となると、企業の情報システム部ほどの知見を備えてはいない。仮に知見があったとしても、そこに時間を割くことは企業価値を毀損しかねない。

「シリコンバレーの投資家にとって、リソースを本業に集中できているかどうかは重要なモニタリングポイントです。例えばバイオのスタートアップのはずが、PC環境の構築にコストと時間、そして、それでなくとも足りていない人員を割いていては、本業での成功確率が限りなく低くなると考えるからです」

 つまり『Lenovo for start-ups』は、スタートアップに本業に集中してもらい、大きく育ってもらうために欠かせないプログラムと言える。

IT投資が後回しだったり自前だったりするスタートアップの落とし穴

『Lenovo for start-ups』は、フリーアクセスな知識、適切な製品、そして支払いやすさを兼ね備える。まず知識は、いずれも無償のセミナーやホワイトペーパーによって提供される。たとえばスタートアップの場合、個人のPCを持ち寄るケースが多い。すると「一つの組織の中に異なるセキュリティ設定が同時に存在することになってしまい、極めてコントロールがしにくくなります」と中田氏。

 セキュリティ環境の拡充は、大企業との協業や経済産業省などが窓口となって行われる政府研究開発プロジェクト(通称国プロ)の採択の条件になっていることが多く、整備の遅れは成長の遅れに直結する。

 また、ウイルス対策ソフトはPC購入後に追加購入して導入することができるが、盗難されたPCのデータを遠隔操作で消去するような機能は、後から付加するのが難しいといったことも案外と知られていない。こうした知見をレノボは無償で提供している。では、そうした条件を満たすPCはどこで手に入るのか。その疑問に応え、レノボでは適した製品を特別価格でオファーしている。

「ラインナップには、ハイスペックなマシンを必要とする開発者向けの、よりコンピューティングパワーの高いワークステーションという製品を提供する「calling for all Nerds」というプログラムもあり、事業が急速に成長しても成長痛を感じないものを選んでいただけます。価格はLenovo for start-ups向けに特別に設定した価格で、法人向けセットアップを済ませた状態でお渡しするため、起業初日からすぐにお使いいただけます」

 ただ、特別な価格設定とはいえ、たとえば5人で始めるから5台のハイスペックPCを新たに購入するとなると、スタートアップにとっては負担が大きい。「私達の調査では、スタートアップの64%がIT体制構築への初期投資を抑えるため、サブスクリプションを求めていることが分かりました。そこで、金融機関と提携し、サブスクプランを用意しました」

 三菱UFJ信託銀行、三菱HCキャピタルとの戦略的パートナーシップによるサブスクプランの誕生で、スタートアップは、最小限のリソースで必要な環境を構築できるようになった。必要な知識、十分な製品、そして支払いやすさ。これらを兼ね備えたプログラムへは、東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)、沖縄先端技術大学院大学(OIST)、大阪産業局、愛知県とソフトバンクが東海地域で進めているSTATION AIなどのレノボの戦略連携先経由でも、専任者のいるレノボの専用窓口に直接アクセスできる。

「規模はもちろん、設立からの年数も問いません。スタートアップと自認されるすべての企業が、私たちにとってはスタートアップです」

 すでにこのプログラムを利用中のスタートアップはいくつもあり、たとえば、業務連携先のひとつである東大IPCがファーストラウンドに採択した企業でLenovo for start-upsのセミナー参加スタートアップの38%が導入済み。直近では、OIST発のEFポリマーも利用中だ。2020年創業で、持続可能な農業の実現のため果物の皮など100%オーガニック由来の吸水性ポリマーを研究開発している社会的意義も非常に大きい同社の成長にも『Lenovo for start-ups』が寄与している。

レノボがスタートアップを支援し、スタートアップが日本を強くする

 レノボ・ジャパンはグローバルに展開するレノボ・グループの日本法人だが、この『Lenovo for start-ups』は、日本にもっとユニコーン企業を、という思いから生まれた日本オリジナルのプログラムだ。

「このプログラム自身が、レノボ内でのスタートアップのような存在です」と語る中田氏は、数えるほどしかユニコーン企業が存在しない日本の現状を変えたいと考えている。

「日本は、GDPが世界でも3、4位と経済規模が大きい国ですが、OECD加盟国の中でも定位に位置する時間当たり労働生産性の低いという課題を抱えてもいます。GDPの25%を占める大企業うち91%は営業利益率が10%未満です。一方、日本より生産性の高い国々では、ユニコーン企業が社会の変化を牽引しています。日本でも、スタートアップを始めとした、企業の99%以上を占める中小企業が成長すれば、個社、そして大企業とのオープンイノベーションを通しても、日本を底上げすることになります」

 レノボにとって日本は、特別な国でもある。「ThinkPadの開発拠点は横浜です。NECや富士通のPC事業も広義のレノボ・ファミリーです。レノボ・ジャパンはグループにおいて、単なるいち現地法人ではなく、特別なマーケットを担当しているという自負があります。その特別な国で私たちは、コアビジネスであるコンピューティングを通してどのように貢献でき、一緒に成長していけるのかを常に考えています」

 レノボは今後、業務連携先とプログラムで利用できる製品ラインナップを拡充するなどしてプログラムを充実させ、日本からのユニコーン企業誕生を強力に後押しし続ける。

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