腕時計を丸1週間、実際にJBpress autograph記者が身に着けて試します。身に着けたからこそ伝えられること、実感したことをつまびらかに書き記しました。1週間というセミロングな時間をともにしたからこそ、気づいたリアルな感想を綴っていきます。

第1回テーマ「TUDOR PELAGOS FXD

この時計を1週間、試着した“リアルな感想” 

1.Black&Whiteのカラーコントラストが爽快

2.チタンは長時間着けていても、軽くてラク

3.ベルクロストラップが想定以上に使える、映える

4.リュウズトップがシールド装飾

Black &  Whiteのカラーコントラストが爽快

まず申し上げたいのは、このモデルがとてもクリアなメッセージをもたらすルックスであること。デザインは王道ですが、機能をディテールに落とし込む手法が、まるで竹を割ったようにスパッとしていて、腕元にパワーがみなぎるイメージです。一瞬の印象が、とても強いのです。

それは、黒と白のカラーコントラストが、他モデルよりも段違いにハッキリ・クッキリ演出されていることに起因します。端的に申し上げるとグレードX1のスーパールミノバを塗布したインデックスが、ひたすら純白! これが第一の要因です。

ペラゴスのインデックスは角型。ちなみにブラックベイシリーズはドット型です

ペラゴスのインデックスは、グレードX1のスーパールミノバに加え、文字盤から数ミリ隆起させ、存在感を高めています。蓄光材は暗所でブルーに光りますが、通常時は清らかな純白。ペラゴスシリーズすべてに言えることですがこの視覚効果は絶大です。

次に、このモデルは逆回転防止ベゼルにミニッツトラックが60分すべて省略されずに付いています。こちらは、このリファレンスだけが持つ大きな違い。第二の要素です。

ペラゴスシリーズは、ベゼルの操作性を高めるために、ベゼルそのものも大きくなっています。しかも、このリファレンスはミニッツトラックが省略されず、60分間全包囲に付いています

一般的なダイバーズウオッチのベゼルは、ラスト15分間のみ1分刻みで、その他は5分刻み。ゆえにミニッツトラックは15分間を示す90度にギュッと詰まっていますが、そのギュッと詰まっている部分が、このモデルでは360度。ですからベゼルにおいてもインデックスの白がこれまた際立つのですね。そのベゼルはセラミック製で、文字盤同様にカラーコントラストは高いものとなっています。すなわち、文字盤からベゼルへと連続するように、明瞭な印象が続いています。

ほかにも純白の存在感を高める要素はあります。通称イカ針と言われるスノーフレーク型の時針や、ロゴ表記、クロノメーター表記もすべてホワイト。それらがブラックダイアルの各所で目立ちまくるのです。黒と白の色対比が文字盤上で華々しく行われ、奇をてらっているわけではないのに、思わず目を引きます。

このことは商品画像からも薄々感じていたことですが、いざ、腕にすると“実感”しました。

自然光下で、文字盤をかなり傾けても、盤面がシャープ。ボヤけないところがいい!

そしてこの色対比をサポートするのが、無反射コーティングのクオリティの高さでしょう。じつはコーティングってとても大切。自然光の下、屋内ライトの下、あるいはデスクライトの下など、さまざまな明かりのもとで、この時計は常に明瞭に文字盤を見せています。デザインをぼやけさせず、シャープに見せるから、上記の色対比も余すところなく表現し切っているのです。

暗所で蓄光材が発光する様子。ブルーの発色が魅力的です

言葉にすると「無反射コーティング」のひと言で済んでしまいますが、無反射機能がしっかりとワークして、はじめて告時機能がユーザーに伝わります。いやユーザーだけでなく、他人に対しても伝わるのです。

ここで、周囲にどう写るのか、という話を挟ませてください。じつはこの時計を試着するなかで、友人にも協力してもらい、私の眼の前で「ペラゴス FXD」を着けてもらったのです。そのときに、私が感じた印象は、私が身に着けて感じた時以上のクリアさです。

なぜ、そう感じたのか? それは文字盤の情報が明瞭だからです。インデックスが大きく、カラーコントラストが高いので、多少、距離が遠くても情報が読み取れてしまう。そのことから、私の感覚のなか印象変化が起きました。情報を隠さず開示する透明性をユーザーのキャラクターに投影して、ポジティブな印象を生み出しました。時計がユーザーを語る好例です。

もちろん微差です。あからさまではないから、気にならない。でもその微差が、印象をプラスにコントロールしていると思いました。

チタンは長時間着けていても、軽くてラク

“お洒落は我慢”の時代は過ぎ去りました。真冬のアウターでもだんぜん軽量な機能服がもてはやされているように、やっぱり腕時計も重くないほうがいいと私は思っています。ここぞ! というハレの日ならいざ知らず、平日働いているときやプライベートでリラックスする時に、着けているだけで若干不快になる罰を受け続ける必要など、ないのです。

もちろん! 重量で時計の存在を感じたい趣向もあると思います。特にゴールドやプラチナモデルならば、常に重量感がつきまといます。そういう趣向まで否定する気はありません。でも私のような快楽主義者は、普段身につけるのに、やっぱり軽やかな腕時計を選びたいのです。いい時計を着けている満足感と腕に感じる重量は、比例させなくていいというのが私の持論です。といいますか日常の課題がありすぎて、ネガティブファクターは可能な限り省きたいというのが本音です。

そんな時に、チタン製の時計は有力候補になると思っています。断然軽い。この一言につきます。このモデルは42ミリのケース径で、チューダーでは最大級の大きさとなっています。それでも重く感じないのはひとえにチタンケースのおかげ。

しかも、チタンのグレイッシュなメタル感が、チューダーの無骨なイメージと重なり、共鳴していると思うのですがいかがでしょう?

黒光り、という言葉がぴったりのフォルム
研磨しにくいと言われるチタン材ですが、ケースは非常にシャープな印象を受けます

ケースフォルムは曲面を削り込みすぎず、厚みもしっかりとしたデザインです。チューダーでは多くのモデルで共通デザイン化が図られ、その分、コストも抑えられていると思うのです。ただし量産デザインが生み出す無骨さが、ブランドイメージとガッチリ噛み合っているところにチューダーの優位性があり、個性を生み出しているとも思っています。

このモデルはチタンの無骨なイメージも加わり、突出して“チューダーらしさ”を感じます。ただし、素材がチタンであっても、他のステンレススチールモデルと同様にシャープなエッジが際立っていることを付け加えておきます。目を凝らしてみても、仕上げの粗雑さは一切なし。この美意識の高さが、ブランドの信頼感を強めます。

インゴット感剥き出しのケースバックショット。カッコいいですよね。ただしケースバックはステンレススチール製です

ベルクロストラップが想定以上に使える、映える

アップルウオッチはついにレザーストラップを純正品からなくしましたが、ファブリックストラップがカジュアルと捉えられる風潮は、いまや完全に払拭されています。そしてファブリックも、高品質なものはある。

その気付きをいち早く提案してきたブランドは、私はチューダーだと思っています。他ブランドのように、ファブリックストラップがセカンドオプションではなく、チューダーはファブリックストラップ押しでモデル提案が行われてきたからです。

その最たるモデルが「ペラゴスFXD」ですね。FXDとは、(ラグが)FIXED(固定されている)ことを示すもの。ファブリックストラップ(または付属のラバーストラップ)を着けることを前提とした設計で潔いです。

いわゆるバネ棒がケースに固定されている形状。この穴にストラップを通して使用します。ストラップ交換も楽ですし、なにより装着時にバネ棒が壊れて落下する心配がまったくありません
このモデルは、オリーブドラブに赤のラインが入ったファブリックストラップが付いています

そしてチューダーの純正ストラップは、発色が美しく、光沢があります。さらに程よい張り感がある。ゆえに、カジュアルでも“品がある”のです。この“品がある”というのがとても大事! 美しいファブリックは、革をも凌ぐことを証明しています。またフォレストグリーンに赤のラインというARMYな配色も、他にはないもので、目を引きます。コンセプトがミリタリー基調ですから、あらゆるワードローブとも調和し、コーディネイトをシックに見せるのです。

じつは私は当初、ストラップも黒にしてくれたらなぁと思って見ていたのですが、そういう硬派趣向には換えのブラックラバーストラップが付いています。はじめから2通りのコーディネイトを楽しめるというわけで、気が効いています。

こちらがブラックのラバーストラップ。グラスファイバーが編み込まれているので、薄地ながら強度も万全。黒一色のスタイルは、硬派で好感が持てます

リュウズトップがシールド装飾

そもそもブランド名がイギリスのチューダー朝から取られているので、かつてはチューダー朝を示すバラの紋章がブランドのロゴとして使用され、その名残りがリュウズトップに連綿と記されてきました。現行ラインナップでは今もなお、バラの紋章がチューダーのリュウズトップに記されているものが多いです。

ですが、12時位置のブランド名の上にも記されている通り、現在のチューダーのロゴはシールド(盾)に代わっています。そしてこのモデルでも、リュウズトップはシールドになっています。

ここは個人的なこだわりポイントですが、私自身、シールドのほうが今のブランドイメージに合っているなあと思っていたので嬉しい限り。貴族的というより、騎士的とでも言いましょうか……あくまで勝手な想像ですが、いろいろ歯切れが良くなったと感じています。

結論 時計の存在感が明快で気持ちいい

というわけで1週間この時計と向き合った私の主観を書き連ねて参りましたが、このモデルは、大人気ブランド「チューダー」の中でも一段階ギアが上がったモデルだと感じました。チューダーが志向する「いいモノ」感が今の時代にシャープに合っているといいますか、実際に腕に着けていて、高揚感をもたらし、かといって背伸びしすぎず、とてもバランスがいいように思います。

ともすると、最近の腕時計は作りが良すぎるあまり過剰にスノッブに見えてしまうものもありますが、そう見せないのは、きっと機能の延長線上にデザインを求めているからでしょう。デザインの重心が低く、とても秀逸です。

そしてファブリックストラップで高級時計を軽やかに着けていくスタイルは、一過性のものではなく、むしろますます広がっていく動きだと思っています。このモデルは、その先頭に位置するアイテム。トレンドセッターとして、この「ペラゴスFXD」を颯爽と着けこなしたら、さぞかしカッコいいと思います。

PELAGOS FXD(M25717N-0001) 自動巻き(クロノメーター)、チタンケース、42mm径、逆回転防止ベゼル、ファブリックストラップ(交換用ラバーストラップ付き)、200メートル防水、54万100円(2024年1月1日より価格改定予定)