文化と歴史、そしてホテル
旧市街の南端、ヴィスワ河畔の小高い丘の上にそびえるのがヴァヴェル城です。10~16世紀にかけて歴代国王の戴冠式が執り行われ、その居城となったお城です。
何世紀ものあいだに増築を繰り返した王宮は、ロマネスク様式、ゴシック様式、ルネサンス様式が混合しています。
宝物コレクションも膨大で、ブリュッセルの織物工房で作られたルネサンス時代のタペストリー138枚は特に貴重なものです。
クラクフは学生街でもあり、10万人以上の学生が学んでいます。なかでも1364年創立のヤギェウォ大学では、中欧ではプラハのカレル大学に次ぐ歴史を持ち、コペルニクスや故ヨハネ・パウロ2世も学びました。コレギウム・マイウスという中世から残る建物があり、誰でも自由に見学することができます。街には教会や修道院も多く、街では修道僧の姿も多く見かけます。
また、1801年に設立されたチャルトリスキ美術館はポーランド最古の美術館で、古代から近代までの優れた美術・工芸品などを所蔵しています。レオナルド・ダ・ヴィンチの『白貂を抱く貴婦人』を所蔵するチャルトリスキ美術館をはじめ、市内では36もの美術館や博物館があり、ポーランドにある美術品の4分の1以上がクラクフにあるということになります。ポーランドの美術にもぜひ触れてみてください。
ポーランドはユダヤ人との関わりが深い国ですが、中世、西欧で迫害を受けた多くのユダヤ人がクラクフに移り住んできました。とくに14世紀頃、カジミェシュと呼ばれるユダヤ人地区は、プラハのヨゼホフに次いで世界で2番目に大きなユダヤ文化遺跡の集合体となっています。現在は、シナゴーグ(ユダヤ教の寺院)やユダヤ人墓地のほか、ユダヤ人街にあった昔ながら料理店、ホテルなどが並び、観光地として甦りました。
カジミェシュを南下してヴィスワ川を渡ったポドグージェ地区には、戦時中ゲットーが設置されていましたが、戦後、街並の修復が進んでいます。スピルバーグ監督の映画「シンドラーのリスト」で有名になったエナメル工場もこの近くにあり、今は博物館となっています。再生に向けた取り組みにも目を向けてみてください。
クラクフは治安もよく、ヴァヴェル城も含め世界遺産の地域は徒歩で回ることができます。おすすめの5つ星ホテルは「ホテル・コペルニクス」。中世の佇まいが今なお残るカノニチャ通りにあり、通りはヴァヴェル城へとつながります。
ルネサンス様式の建造物が多いなか、ホテルは重厚なゴシック様式で、部屋には歴史的なエレメントがインテリアに生かされているものが多く、とくに「紋章の間」というスイートにはみごとな中世の木の梁天井があります。「カノンの間」には修復された16世紀の美しいフレスコ画が飾られています。
また、クラクフらしいクラシカルな3つ星ホテルが「ホテル・ポレラ」です。
価格も手ごろでロケーションも大変よいホテルのひとつで、ホテル内の階段にあるクラクフ出身の芸術家スタニスワフ・ヴィスピャンスキがデザインしたステンドグラスの窓は必見です。
クラクフへはワルシャワから特急列車で約3時間、クラクフ市街地に近いクラクフ中央駅に行くことができます。
クラクフに泊まれば、700年以上にわたって岩塩の採掘をしたことでできた広大な地下採鉱場で、1978年、文化遺産に登録された「ヴィエリチカ岩塩坑」と、第二次世界大戦において人類の起こした悲劇の証拠であり後世に語り継ぐべき「負の遺産」として1979年、世界遺産に登録された「アウシュヴィッツ=ビルケナウ ナチス・ドイツの強制・絶滅収容所アウシュビッツ」にも回ることができます。この機会にぜひ、世界遺産3箇所を訪れてみてください。
※旅行に行かれる際は外務省海外安全ホームページなどで現地の安全情報を確認してからお出かけください。