恋愛成就、縁結びの神社

 またこちらは、恋愛成就、縁結びの神社としてもつとに名高い。稚和女尊は機織りを司る女神で、糸と糸を織りなすように人と人との縁を結ぶとされているためだ。神前結婚式も行われており、ある有名女優さんが最初の結婚式を挙げたことでも知られている。その結婚は何かの事情があって破れてしまったが、その後お二人とも別の方とのご縁を結ばれ、現在は充実した毎日を送られているとのこと。これもある意味、生田さんの縁結びパワー、再生パワーによるものと思われる。

生田の森 写真=PIXTA

 境内にはその他の見どころも数々ある。とりわけ本殿奥の「生田の森」は見逃せない。三ノ宮の繁華街に囲まれた小さなスポットながら樹木が茂る鎮守の森で、『枕草子』にもよい森のひとつとして記されているという。

 源平合戦の際には、ここから一の谷に向けての一帯が戦場となった。そのため、平敦盛が深く愛した「敦盛の萩」、梶原源太景季ゆかりの「箙の梅」、「梶原の井」、武藏坊弁慶が源義経の代理として当社に参拝した際に奉納したとされる「弁慶の竹」など、源平ゆかりの史跡が点在している。

 本殿左手には、「生田の池」という由緒ある名所もある。「しぐれ行く生田のもりのこがらしに池のみ草も色かはる頃」(藤原定家)などの古歌も残され、史跡巡りに趣きを添える。神戸は明治以降西洋の文物を取り入れる場所として発展したが、それよりはるかに古い時代から数々の歴史の舞台となってきたのである。

生田神社 絵馬

 最後に、お守りなど授与品のお話を。縁結びの神として若い女性に人気が高いためか、おしゃれな絵馬やお守り類が多い。定番はピンクのハートに『愛』という一文字が書かれた絵馬だが、近年は、さらに充実してきた。

 とりわけ令和3年に神戸の子供服メーカー、ファミリアとのコラボレーションで生まれた品々が人気である。ファミリアのキャラクターはクマ。その顔をそのまま絵馬にしたものや、ファミリアの象徴であるチェック柄にクマのキャラクターを組み合わせた『育守』(はぐくまもり)、御朱印帖、手提げ袋などもあり、かわいいもの好きにとってもたまらなく魅力的だ。

 全国から郵送して欲しいという手紙が殺到しているが、現在のところは、現地でしか授与していただけない。また、フリマサイトでの転売や購入は控えてほしいとの断り書きが神社の公式サイトにもある。いくらかわいくても単なるキャラクターグッズではないのだから、神社の授与品の本来の意味を踏まえて大切にしたいものだ。