文=加藤恭子 撮影=加藤熊三 写真提供=稲田本店

『IKU'S SHIRO(いくす しろ)』は、爽やかな甘さと酸味が夏にぴったりの純米大吟醸。兵庫県産山田錦を原料とする正真正銘の日本酒ながら、アルコール度数9%でびっくりするほど軽やか! フレッシュな白桃やドイツの甘口の白ワインのような印象も。500ml 1980円(税込)

ハードルの低い日本酒を目指して

 するり、とほどけるようにやわらかい。透明なしずくは、熟した桃やブドウを思わせる甘酸っぱさ。夏の夕暮れ、冷やしたボトルからすらっとしたフルートグラスに注げば、穏やかな芳香が立ち、華麗な食前酒としても存在感を放つ。

 鳥取県米子市の稲田本店がつくる『IKU'S SHIRO』は、酸のきいた極甘口低アルコールの純米大吟醸酒。平成26(2014)年、日本酒の枠を超えた自由な酒造りに挑戦する『いくす-IKU’S-』シリーズの第1弾として開発された。アルコール度数9%で、ついするすると飲み干してしまうほどやさしい飲み心地! ワインに比べてもだいぶ軽い!

 日本人は世界でも珍しいほどお酒に弱い人が多く、4割以上の人がアルコールを代謝しづらいといわれている。稲田本店11代目社長、成瀬以久(いく)さんもそんなひとり。そこで自分のようにそれほどお酒に強くない体質の人にも楽しんでもらえる、低アルコールながらもしっかりとした上質な日本酒をつくりたいと考えた。

「甘酸っぱくて軽やかで、素直に美味しいと感じられる。そんな “ハードルの低い日本酒”をつくりたいと考えました。じつは当時、うちの娘が20歳になるタイミングだったこともあり、人生で初めて飲む日本酒はどんなものがよいだろう? ということもイメージしました」

 原料米は契約農家から直接仕入れる、兵庫県産の山田錦。48%精米まで削り、贅沢な純米大吟醸に仕上げている。

『いくす-IKU’S-』のネーミングは、“以久(いく)”と、超えるなどの意味を持つ“EX(EXTRA)”を合わせたもの。「自分の名前をつけるのはいやだったんです。だって売れ残ったらいやじゃないですか。でも、”社長の名前だと話題にしやすいから “と、営業担当者に説得されまして……(笑)」と、成瀬社長はちょっと照れた