ベージュのスエードスーツを身に纏い、王者の風格と貫禄を見せる

写真:山口フィニート裕朗/アフロ

 世界バンタム級で4団体統一王者に輝くという金字塔を打ち立て、2023年1月にすべての王座返上とスーパーバンタム級への転向を発表。そして、来たる7月19日にWBCとWBOの世界スーパーバンタム級2団体統一王者のスティーブン・フルトン(アメリカ)と、東京・有明アリーナで相まみえる。

「スエードのスーツにTシャツ、スニーカーといったスポーティなアイテムを合わせた“着くずし”がこなれ感を生んでいます。肩がアンコン、パンツの裾がリブなのでTシャツ、スニーカーとの相性がとても良いですね。通常ナイロン素材などでこういったスーツはあるのですが、スエード素材というのと色味もベージュなのがリラクシンで高級感を漂わせます。

 世界バンタム級で4団体統一王者になる前はアクの強いストライプスーツでこれ見よがしなスタイルが多かったですが、今は世界最強“モンスター”としての余裕が生まれているのかもしれません。フルトン戦も豪快なKO勝ちを期待しましょう!」


 ボクシング界の“光”を一身に浴び続ける井上尚弥選手。高校時代にアマ7冠、プロ転向後は国内最速6戦目で世界王座(WBC世界ライトフライ級)を奪取。2014年12月にWBO世界スーパーフライ級王座を獲得し、史上最速の8戦目で2階級制覇。2018年5月にWBA世界バンタム級王座を獲得し、3階級制覇。2019年にはWBA、IBF世界バンタム級王者になり、同年11月WBSSバンタム級トーナメント優勝。22年6月にWBCバンタム級王座を獲得、同年12月にWBOバンタム級王座を獲得し、アジア・日本人初の4団体統一に成功と、“ザ・モンスター”の異名にふさわしい怪物級の活躍を続けている。

 強敵を倒していくたびに、表に出るときのファッションはさながら減量のように削ぎ落とされ、落ち着きを見せていった。服装で威嚇し誇示するのではなく、拳だけが力を証明してくれるものだと自覚したかのように。2023年7月19日のスティーブン・フルトン戦で勝利したとき、さらに研ぎ澄まされたスタイルで現れるのかもしれない。

 

四方章敬(しかたあきひろ)
1982年京都府生まれ。スタイリスト武内雅英氏に師事し、2010年に独立。ドレスファッションに精通し、「LEON」「MEN’S EX」「MEN’S CLUB」など、多くのメンズファッション誌からオファーを受ける敏腕スタイリスト。業界きってのスーツ好きとしても知られ、イタリア・ナポリまでビスポークに赴いた経験もある。最近はセレクトショップやブランドと共同でウェアのプロデュースを手掛けるなど、活躍の幅を広げている。