代表作③製作(製作総指揮)に徹した作品

 最後にブラピ自身は出演せず、製作(製作総指揮)に徹した作品の一部をご紹介します。こちらもなかなかの意欲作が並びます。

●『マイティ・ハート / 愛と絆』(2007)

中東を舞台に取材中に誘拐、殺害されたジャーナリストの事件を綴った妻の手記を映画化したサスペンス作品。主演はアンジェリーナ・ジョリー。硬派な作風で知られるマイケル・ウィンターボトムが監督し、ブラピは製作を務めています。

 

●『きみがぼくを見つけた日』(2009)

 エリック・バナとレイチェル・マクアダムスが共演した不安定な時間軸に翻弄される男女を描いたタイムトリップ仕掛けのラブストーリーで、今でも熱心なファンを持つ佳作です。ブラピは製作総指揮でクレジット。未見の方はぜひご覧ください。

 

●『グローリー / 明日への行進』(2014)

 アメリカの公民権運動における重要な事件を、主導者であるキング牧師の葛藤を軸に描いた社会派作品。『それでも夜は明ける』と『ムーンライト』に挟まれた時期に製作された作品であることを考えると、この時期のPLAN Bの方向性がうかがえるのも興味深いですね。

 

●『バイス』(2018)

 ブッシュ政権下で暗躍したチェイニー副大統領(Vice President)を描いたブラックなテイストの政治ドラマ。主演は『ダークナイト』シリーズのクリスチャン・ベールで、ブッシュ大統領をサム・ロックウェルが演じています。ブラピは製作として参加。

 

●『ミナリ』(2020)

 1980年代のアメリカを舞台に、韓国系移民の家族を描いた感動作で、時代に敏感なPLAN Bらしさの最新の成果といえる佳作です。作品賞ほか6部門にノミネートされたアカデミー賞は助演女優賞の受賞のみにとどまりましたが、ゴールデングローブ賞では最優秀外国語映画賞(アメリカ作品ですが韓国語の比率が高いため)を受賞しました。ブラピは製作総指揮を担当。

 

 そして、『SHE SAID / シー・セッド その名を暴け』(2022)。

 こうして改めて見ていくと、様々な挑戦を続けるPLAN Bですが、その最新の挑戦ともいえるのが、アメリカ映画史上最大級のスキャンダルに発展したハーヴェイ・ワインステイン事件を題材にした本作です。この記事がみなさまのお目に触れる頃ちょうど公開中の本作ですが、生々しい題材をスピーディーに扱うアメリカ映画らしさが感じられる企画として、どのような作品になっているのか。劇場に足を運んでみてはいかがでしょうか。