独自の審美眼を貫く、世界のレジェンドたち。政治家から作家、思想家、建築家、ビジネスエリートまで、彼らが身に着ける品々から、その生き様も見えてくる。いかに洋服を楽しみ、相手への印象を考えて装っているのか、ドレスファッションに精通するスタイリスト四方章敬氏が解説。2人目はカナダの第29代首相ジャスティン・トルドー氏にフォーカス。隙のない正統なスタイルに、ある“ハズシ”が親しみを感じさせる。

写真=アフロ 協力=四方章敬 編集・文/名知正登

ネイビーブルーのスーチングで初対面の印象アップ

写真=AP/アフロ

 首相に就任後、初めてアメリカを訪れ、ワシントンにある議会議事堂内を歩いている場面。

「ネイビーの無地のスリーピーススーツ、ブルーシャツ、ブルーのタイで貫禄があるコーディネートです。色調を揃えているのでまとまりも生まれています。このスーツに、このネクタイの色味は面白いですね。初対面の上院の議員に会う場面ですから、溌剌で親しみのあるヴィヴィッドなブルーのネクタイを選んで印象を良くしているように思います。中に着たベストの一番下のボタンはマナーとして外しておいてもよかったかもしれませんね」。