理由② 日本人はコンテスト志向が強い

「世界一のオリンピック好き」と言われることもある日本人。コンテストで結果を出すことが重視され、金メダル獲得ということになれば一躍スター選手の仲間入りを果たす。だが逆に言えば、その競技の熱心なファンでなければ、コンテストで結果を出せないアスリートが注目を集める機会は少ない。

 だが、スケートボード発祥の地であり、本場であるアメリカには、コンテストとは違った価値観がある。「スケートボードは元々、街中での遊び。コンテストで勝つことがすべてじゃない。カッコよければ、それでいいのさ」という考え方だ。

 実際のところ、アメリカにはコンテストに出ないスーパースターも多い。例えば、ロサンゼルス出身のショーン・パブロ。彼は「Supreme(シュプリーム)」「Converse(コンバース)」「Fucking Awesome(ファッキンオーサム)」といった有名ブランドとスポンサー契約を結び、コラボ商品やDVD作品をリリース。スケーターとしてのテクニックが評価される一方で、ファッションアイコンとしても世界的な支持を獲得している。

 ニューヨーク出身のタイショーン・ジョーンズも同様。「Supreme(シュプリーム)」や「Adidas(アディダス)」の顔となり、雑誌『i-D』をはじめ数多くの雑誌の表紙も飾った。コンテストに出なくても、スーパースターになれる。しかも、金も稼げる。アメリカでは、「競技としてのスケートボードはやらない」という選択肢も定着している。

 コンテストでどうやって成績を残すかではなく、ストリートでどれだけクールにキメられるかを重視するアメリカ人スケーター。試合で勝つことを目標に基本テクニックをコツコツと磨く日本人スケーターのほうが、コンテストでは分がありそうだ。(後編に続く)