文=福留亮司
シャネルウォッチの代名詞的存在になった『J12』から、今年も複数のモデルが発表された。それらには、シャネルらしい発想とセンス、そして技術力が、いかんなく発揮されている。
新しい概念を定着させた腕時計
もはやシャネルファンだけに留まらず腕時計の定番となった『J12』。誕生から20年を超える歳月は、セラミック素材やブラック、ホワイトといったカラーを腕時計に定着させた。時計の歴史においても重要なモデルといえるだろう。
そんな『J12』がリニューアルされたのは、2019年のこと。
デザイン的には、インデックスがセラミック製にインデックスへと変更され、ケースバックがシースルーになるなど、以前より洗練された感じだったが、大きな変更はなかった。しかし、ムーブメントがこれまでの汎用のものから、シャネルが資本参加するケニッシ社製の自動巻きCal.12.1に変更したことで、より強力なユニットとなった。
持続力の証であるパワーリザーブは、42時間から70時間へと大幅に向上しており、さらにはスイスから輸出される時計の6%しか合格しない、厳格な精度基準であるCOSC(スイス公認クロノメーター検定協会)の認定機にもなっている。
22年は、そんなシャネル『J12』から興味深いモデルがいくつか登場している。
まずは、ケース径33㎜という小径モデル『J12 キャリバー12.2』。スイス・ラ ショー ド フォンの自社工房で開発し組み立てられた搭載のケニッシ製Cal.12.2は、小型化したケースに合わせて既存のCal.12.1を単純に縮小化するのではなく、全174個にもなるパーツの大きさや形、配置を考慮することで、持てる性能を十に発揮できるように設計されている。
こちらもCal.12.1同様にCOSCの認定を受けており、小型ムーブメントでありながら、約50時間のパワーリザーブを誇っている。