そんな1世紀以上も前に形づくられた「サントス」の意匠を、この「サントス‐デュモン」は継承しているのだ。

 エッジをきかせた角型のケース、ケース側面からラグへのなだらかな曲線。リューズにはパール状の飾りがつき、その先端にはブルーカボションがつけられている。これがなんともカルティエらしい。ダイヤルはローマ数字のインデックスにバトン針という正統派。まさに“カルティエの顔”といったところである。

 

搭載されたクォーツムーブメント

 と、ここまで書くと、たいていは“そこに伝統的な機械式ムーブメントが載る”ということになるのだが、この「サントス‐デュモン」はその容姿に反してクォーツムーブメントが搭載されている。

 もちろん、機械式じゃないと嫌だ、という時計愛好家が多いのは承知している。ただ「いい腕時計が1本欲しい」という人は、そこにこだわる必要はないと考える。いまは機械式以外にも、クォーツ、電波時計、GPSなど新しいムーブメントが出てきている。新しいテクノロジーであり、精度も圧倒的に高い。

 なので「サントス‐デュモン」に、あえてクォーツムーブメントを組み合わせてきたカルティエのセンスが素晴らしいのだ。

 ただ「サントス‐デュモン」搭載のクォーツムーブメントは只者ではなく、カルティエが新開発したもの。消費電力を抑えた画期的なのもので、約6年間にわたって高精度で連続作動する長寿命化を実現しているのだ。それは従来のクォーツ・ムーブメントの約2倍ものパワーということだ。電池寿命が長いことで、電池交換というクォーツムーブメントのデメリットもクリアしているのだ。

厚さ7.3㎜の薄いケースとラウンドしたラグが快適な装着感を生む

 そして、薄くつくれるクォーツムーブメントということで、ケース厚がわずか7.3㎜に抑えられているのも、見た目の美しさや装着感に大きく寄与している。

 この「サントス‐デュモン」は、46.6×33.9㎜のXL(手巻き)、43.5×31.4㎜のLMとひと回り小さい38×27.5㎜のSMの3サイズで展開しているが、お勧めはSMサイズのステンレススティールモデル。控えめでエレガントである。しかも価格が38万5000円というところにも好感が持てるのだ。