いまでも速度無制限区間では、1番左側の追い越し車線を200km/h以上でカッ飛んでいくクルマが多く見られます。何かあるとさすがにマズイのでその中に紛れるのは遠慮しましたが、3車線の真ん中でも平均速度は150km/hぐらい。それでもCクラス・オールテレインは抜群の直進安定性を見せてくれました。車高が高いと横風の影響を受けたりボディがふらついたりする場合が多いのですが、そういった事象はほとんど見られませんでした。運転中はステアリングに軽く手を添えているだけ済むし、乗り心地も悪くなく、これならロングツーリングも疲労は最小限に抑えられるでしょう。

インテリアはCクラスのアヴァンギャルドをベースにしているが、トリムやシートなどにオールテレイン専用のカラーや素材が使われている

現実的なテストコースで

 テストコースではオフロードでのドライブを試してみました。このテストコースには数種類のオフロードコースがあって、今回用意されていたのはいわゆる初級者向けレベルのもの。それでも途中の勾配は歩いて登るにはちょっと険しすぎるくらいだし、むしろ私たちが日常でも遭遇するかもしれない現実的コースでした。

 4MATICの4輪駆動システムは前後の駆動力配分が45:55の固定式で、接地感が高く路面をしっかり掴んでくれます。急勾配を下る時にはドライブモードをオールテレイン専用の「OFFROAD+」にすれば、アクセルペダルから足を離したまま、ゆっくりと安全に下っていくことができます。

 また、例えば積雪のある坂道で「これくらいなら行けるだろう」と登り始めたものの途中で滑ってどうにもならなくなった場合、リバースに入れてアクセルペダルから足を離せば、これまた安全に坂の麓まで降りていってくれます。この「OFFROAD+」の制御プログラムや、オフロード走行に必要なさまざまなセッティングは、メルセデスのGクラスの開発チームが監修したそうで、さまざまな悪路走行に熟知した彼らの知見の入ったCクラス・オールテレインは、実用ヨンクとしてかなりの実力を持っていると言えるでしょう。

ドライブモードに新たに追加された「OFFRAOD」と「OFFROAD+」はオールテレイン専用の装備。Gクラスの開発スタッフの監修による独自セッティングが施されている

 エンジンはガソリンとディーゼルがそれぞれ1機ずつ用意されていて、日本には2022年春頃に2リッターのディーゼルターボを搭載したC220d 4MATIC オールテレインが導入予定のようです。新型Cクラスはオールテレインを含めPHEVを除くすべてのエンジンが電動化ユニットのISG仕様となっており、C220dのディーゼルターボもエンジンの発生する200ps/440Nmに加えて、モーターが駆動力をサポートしてくれます。1.9トン近いボディでも加速力は十分で、じれったい思いをする場面は一度もありませんでした。

 日本では相変わらずSUVが幅を利かしていますが、無用に大きなSUVよりも電動化されたワゴンにさりげなく乗っている姿がスマートに映る、そんな時代がやってくるかもしれませんね。