文=渡辺慎太郎

Cクラスにオフロード走行も可能にするオールテレインが追加された。日本へは2022年春に導入予定

追加された早速派生モデル

 日本では販売が開始されたばかりのメルセデス・ベンツ新型Cクラスに、早速派生モデルが追加されました。「Cクラス・オールテレイン」の「オールテレイン」とは「全地形」のような意味で、簡単に言えばオフロードの走破性も備えたCクラスのワゴン、ということになります。以前、「Eクラス・オールテレイン」と呼ばれる似たようなモデルが販売されていましたが、Eクラス以外で「オールテレイン」名乗るのはこれが初めてです。

 日本では1990年前後にワゴンブームがあったものの、いまではすっかりその人気も影を潜め、国産メーカーでワゴンを積極的に開発・販売しているのはスバルくらいとなってしまいました。いっぽうヨーロッパでは依然としてワゴンは根強い人気を誇り、ドイツメーカーではアウディ/BMW/メルセデス、そしてポルシェまでもがワゴンをラインナップに揃えています。

 SUVにずいぶんお客を奪われてしまったものの、「実際に使ってみるとこんな大きさは必要ないし、ワゴンくらいのサイズのほうがちょうどよく燃費もいい」などの理由から、“ワゴン回帰”の傾向が最近見られるようになってきたそうです。新型Cクラスは、Cクラス史上初めてセダンとワゴンを同時発表していますし、それから1年余りでオールテレインを追加導入していることからも、メルセデスもワゴンにはそれなりの期待を抱いているようです。

使い勝手のいいラゲッジスペースもCクラスワゴンのそれをそのまま踏襲している。後席を倒せばさらに拡大可能

新型はエアサスの取り扱いをやめた

 Cクラス・オールテインは、Cクラスのワゴンをベースに最低地上高を40mm上げて、前後バンパーやフェンダーを専用の意匠としています。Eクラスのオールテレインにはエアサスペンションが装備されていましたが、Cクラスにはそれはなく、コンベンショナルなばねとダンパーの組み合わせになっていますので、車高調整はできません。従来型のCクラスにはエアサスが用意されていたのですが、メルセデスが期待していたほどそれを注文するお客がいなかったそうで、新型ではエアサスの取り扱いをやめてしまったそうです。

 車高調整が出来なくても、40mmの最低地上高アップはオンロードでの性能になんら悪影響をもたらしていませんでした。今回の試乗会はメルセデス本社とテストコースを往復するルートが指定されていて、途中には速度無制限区間もあるアウトバーンが含まれていました。

ベースはCクラスワゴンなので、最低地上高が40mm高くなった以外のボディサイズはCクラスワゴンとほぼ変わらない