文=甲斐みのり 撮影=平石順一
食卓を彩る特別なビール
年末の足音が聞こえ始めるこの時期には、これから迎えるクリスマスや年越しなどのイベントに向けて、お取り寄せの計画をたてるのが毎年の恒例。今年は昨年に続いて静かに過ごす予定でいるけれど、そのぶん食材は豊かに揃えたい。中でもお酒類に関しては、話題のものや目新しいものを積極的に選んで、味わう時間に広がる話題を楽しめたらと思っている。
私の身近には、街にくり出しおいしいものを食べたりお酒をのむのがなにより好きという人が多くいるけれど、コロナ禍以降はもっぱら、いかに豊かに“家のみ”を充実させるか考えているそう。私自身は基本的にお酒は外でのむのが習慣化しており、家での晩酌は限られたときだけ。
それがコロナ禍をきっかけに、休日は昼から料理にとりかかり、夕方には食卓いっぱいにお皿を並べて、お酒を味わいながらゆっくり食事をとるのが楽しみになった。そんなとき、より気持ちを盛り上げてくれるのが、個性に富んだ風味やデザインで、旅しているような心地へと誘われるクラフトビールだ。
今年出合ったクラフトビールの中でも、ひときわ場が華やいだのが、日本のブリュワリーや醸造家、メーカーなどとコラボレーションしながらクラフトビールの魅力を発掘していく総合アルコールブランド「CRAFTX」が生み出す品。その代表としてすでにクラフトビール好きに愛されているのが、ストーンフルーツやパッションフルーツに近いホップと、柑橘系のホップをブレンドすることで、爽やかでフルーティーな香りが際立つ「CRYSTAL IPA」。
茨城県の日本酒の蔵元・木内酒造が販売するクラフトビール「常陸野ネストビール」とのコラボレーションとのことで、期待しながら口に運ぶと、想像以上の豊かな味わい。グラスに注ぐとあたりに甘く華やかな香りがふわっと広がり、口にすれば軽やかな切れ味。サラダ、肉、魚、チーズ・・・と、さまざまな料理との相性がよく、食事の時間が特別に。
それから、缶の中央にデザインされたQRコードを読み込むと、お酒を味わいながら視覚的な楽しみとともにいくつかの小話をのぞける仕掛けが。まさに、旅に出て、クラフトビールの醸造所を訪ねたように満ち足りた。
CRAFTXのシリーズは、缶入りだけでなく瓶入りもあるので、贈答はもちろんのこと、自分の家でもちょっと気分を変えたいとき、特別な雰囲気を作り出してくれる。
これからも、新たな展開やコラボレーションが楽しみだけれど、12月中旬には、宮崎のクラフトビール醸造所「宮崎ひでじビール」とコラボレーションで、宮崎産の紫芋を使った赤いエールビール「RUBY RED ALE(ルビーレッドエール)」が発売されるので年末年始に向けておすすめ。こちらもまた、野花や果物を思わせるフルーティーなアロマホップを使用しながら、麦の甘みや心地よい苦味を感じられる仕上がりに。CRYSTAL IPAと合わせて、今年一年の疲れをねぎらうのにふさわしい。