正確な情報からの顧客理解が迅速な対応を生み出す

 こう、小売業界が抱える現状課題を整理した上で、西川氏は続ける。

「流通・小売業は待ったなしの状態です。デジタルの破壊的変化に飲み込まれる産業の1つに数えられているのが小売りですし、農業従事者の割合が100年で50%から4%に低下したのと同じ現象が、これから30年の間に小売業でも起こると指摘されています。

 われわれTRIALも同じ考えです。『小売業は変化対応業』という言われ方もしますが、ダーウィンの進化論にあるように、変化に対応できない小売業はこの先、必ず淘汰されてしまうでしょう」

 では、小売業が淘汰されないための「小売業DX」において、何が成功へと誘うのか。西川氏は「正確な情報を得て、顧客を理解し、迅速に対応すること」、すなわちデータマーケティングが肝心であると提言する。

「例えば、流通・小売りのマーケティングで用いられる『ID-POS』を分解するだけでも、幾つかの問題点が顕在化します。しかし、結果から言えば、その分析に正解は存在しません。企業によって状況はさまざまで、見方・切り口も無数に存在し、確実に課題発見・解決できるようなステップも存在しません。

 とはいえ、分析軸はしっかり持っておく必要があり、それらを軸にすることがお客さまを知る近道です。そこで、われわれTRIALは小売業のみならず、メーカー様とともに『顧客理解』に努めるために、Retail AIが開発した『MD-Link』を使った取り組みをしています」

 MD-Linkは270億件のID-POSデータを保有するデータプラットフォームで、TRIALはこれをメーカーとともに共有しながら、顧客データを分析しているという。

 「これまでID-POSの分析はメーカー主体で進められてきましたが、社内教育などがおろそかになっていたため、あまり活用がされていませんでした。そこで、われわれはオープンなコミュニティ(MD-Link研究会)をつくり、事例を共有しながらMD-Linkを改良。

 同時に社内啓蒙活動にも取り組んできました。その結果、購買行動分析に対する理解が深まり、活用する部署が拡大。さらに自社店舗で最新テクノロジーの施策・検証を繰り返してトライ&エラーの環境を得ることで、改善スピードも向上できました」