(取材・文:松原 孝臣 撮影:積 紫乃)
どのようにわかりやすく伝えるか?
フィギュアスケートの大会をテレビで目にする機会は、ひと昔前より飛躍的に増えた。中継される機会が増え、観る人の数も増えた。それはフィギュアスケートの熱心なファン以外の人も数多く観るようになったことを意味する。
そのとき、重要性を増すのが解説者である。
どのように選手の演技の内容を分かりやすく伝えるか。さらにはフィギュアスケートそのものの魅力を伝えるか。実況にあたるアナウンサーとともに、大切な立場だ。
そのひとりが本田武史である。プロフィギュアスケーターとしてアイスショーで滑り、コーチとして後進を指導するとともに、いまや解説者として十数年に及ぶキャリアを誇る。欠かせないと言ってよいだろう。
現役時代はオリンピックに2度出場し、2002年のソルトレイクシティ大会では、アレクセイ・ヤグディン(ロシア)、エフゲニー・プルシェンコ(ロシア)ら歴史に名を刻む選手たちと伍して競い、4位入賞を果たした。2002、2003年の世界選手権では連続して銅メダルを獲得。全日本選手権は6度優勝。何よりも、日本選手として史上初めて大会で4回転ジャンプを成功させた名ジャンパーであった。
2002年ソルトレイクシティ五輪、フィギュア男子FSでの本田武史。写真=Press Association/アフロ

