2020年12月、全日本フィギュアスケート選手権にてFSを滑り終えた佐藤駿。結果は5位。写真=長田洋平/アフロスポーツ
目次

(取材・文:松原 孝臣 撮影:積 紫乃)

より体力が必要な男子フィギュア

 今年になり、フィギュアスケート期待の若手、佐藤駿のトレーナーとなった中尾公一。

「だいたい週1回のペースで、トレーニングやケアなどをしています」

 そのスタートは、容易ではなかった。今までかかわったことのないフィギュアスケート、しかも研究しようにもフィギュアスケーターのトレーニングに関する文献がない。どのようなトレーニングが必要なのか、手掛かりにしたのは、選手たちの滑っている映像だった。

「あ、滑る中でこういう動きをするんだ、体のここの部分を使うんだ、というあたりを確認しました。やっぱり他のスポーツと違いましたね」

 例えば、ジャンプは片足で踏み切る。

「そのため、やっぱり(身体の左右で)偏ってきますよね。ただ、バランスが悪くなければそんなに問題はありません。あまりに差がついたら、ある程度近寄らせてあげるようにします」

 映像はさまざまな時期のものを観た。その中で、フィギュアスケートの変化も感じる。

「昔の映像も観ていますが、体力的な要素という点では、今日は激しくなってきていますね。特に男子は次元が違ってきている。4回転ジャンプに挑んで、しっかり踊るのはかなり大変ですね。体力が一層、求められています」