LIXIL IT Function 基幹システム統括部の西原寛人氏(右)と中村宏氏(左)

 LIXILは「RPA(Robotic Process Automation、ソフトウェアロボットによる業務自動化)」を普及させるにあたり、業務担当者が主体となってソフトウェアロボットを開発できるよう、独自の人材育成を行っている。基本的な開発スキルを身につけた人材は、LIXILグループ各社をあわせ700人に達しようとしている。RPA人材育成の内容などを、同社IT Function 基幹システム統括部コーポレート・事業会社システム部長の西原寛人氏と同部システム企画推進Gグループリーダーの中村宏氏に聞いた。

業務部門主体でロボットを開発できるように

「本来であれば、IT部門が業務部門の業務改善やデジタル化を支援・推進すべきかもしれないが、業務部門の要望に十分に応えるだけの工数をなかなか捻出できない」。LIXILの西原寛人氏は、業務部門主体でRPAの導入を推し進める背景をこう説明する。

 周知のとおり、LIXILは建材大手5社が統合して誕生した。情報システムの担当者は目下、統合前の各社が個々に開発してきた基幹系システムの統合作業に集中的に取り組んでいる。

 IT部門がRPAの導入を担えば、開発するソフトウェアロボットの品質や保守性などの面で問題が生じるリスクを最小限におさえやすい。しかし、基幹系システムのプロジェクトが佳境をむかえるなか、RPAの導入や保守にまで手が回りきらない可能性がある。

 そのためLIXILは、働き方改革の一環で2018年1月にLIXILグループ全社へのRPA展開が決まった際、業務部門の担当者が自らソフトウェアロボットを作れるように教育する方針を採った。そして業務部門主体で1年間に150体以上のソフトウェアロボットを開発・稼働させ、手作業で行っていた業務の自動化を一気に進めてきた。